受験です高校受験です。さて、どうしましょう。夏になってもまだ進路を決めていなかった私は先生に呼び出された。「八雲の成績ならどこだって行けるんだからとりあえず第一志望決めろ」と言われ悩んでいる。成績優秀、先生からの受けも割と良い、そして世渡り上手な猫かぶり。私完璧人間。しかし本当に高校選択悩むなぁ…憧れの東京行きたいです。でも人混みは嫌いだしなぁ…徹はどこ行くんだろう。聞いたところで一緒の高校行くか分からないし、敢えて合わせるっていうのもなぁ。
結局のところ、私と徹の関係は曖昧だ。好きとは言われたけど付き合ってるかと言えば微妙だ。前より徹はベタベタしてくるようにはなったけど、徹は部活で一緒にいる時間はクラス内くらいだし。

「あ、烏野って学校名かっこいい」

馬鹿じゃないのかと思いつつ進路希望用紙(提出期限1ヶ月以上前)の第一志望に「烏野高校」と殴り書きをした。よし、ミッションコンプリート。先生に提出しに行きましょうかね。先生に進路希望調査を渡したら「いや…もっと頭のいい高校いけるだろ」と言われたので「入試試験1番取るつもりです」と返しておいた。あーでも新入生代表とかやりたくないから程よく手を抜こう。
職員室から出て窓の外に広がるを見上げる。なんだかんだであと半年か、長いようで短い中学生活だったな。やっぱり、もっと青春すればよかったかな、なんて。馬鹿みたいに子供になればよかったと後悔。

「八雲−職員室に呼び出しくらってどうしたのさ」
「徹、いつのまに。なんでもないよ。ちょーっと提出物出し忘れただけだから」
「珍しい、真面目な八雲が」

進路希望調査、なんて言ったらどこの高校受けるの?と聞かれそうだったから言うのをやめた。結局、私は徹とどうなりたいんだろうか。頭がぼーっとするのは夏の暑さのせいだと言い訳をした。

「ねぇ、八雲」
「なぁに、徹」
「だいすきだよ」

彼は、一体私の何を見ているのだろうか。私が自覚できない、何かを見透かされているようで。私は一言「うん」と言って頷くだけだった。


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