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「しきみは年下に懐かれるのよ」
「木兎年下じゃないじゃん(年下だけど)」
「ん?なんか言った?」
「いんや、言ってない言ってない」
危ない、思わず心の声が口から出るところだった。赤葦京治を撒いて友人と会話。まぁ、どこで盗み聞いてるかわからないけど。じゅるるるるーと野菜ジュースを摂取。
「精神年齢低い人に気に入られるのよしきみは」
「ほーん?」
「噂のイケメン君があーいう性格だとは思いもしなかったけど。めっちゃ懐かれてんじゃん。なにしたん?」
「恐怖政治」
「だからなんなのよそれ」
だから恐怖政治だってば。ずずずーと野菜ジュースを飲み干す。
「頭撫でてくれとか抱きしめてくれだとか」
「それさ、やってほしいよね」
「は?」
「自分が頭撫でてもらいたいし、抱きしめてもらいたいよね」
……うん、それはあるな。ぐしゃっと潰した紙パックをゴミ箱にシュートする。よし入った。脚をぱたぱたと遊ばせる。空を見上げる。
「…それは、あるわ」
「しきみが同意した!?」
「なによぅ。私だって癒しが欲しい。出来れば20代半ばの人に抱き締められたり頭撫でられたりしてもらいたい」
「出来れば20代半ば、ってところを消そうか」
「むり、譲歩しない」
譲歩するとすれば、私たちがあと10年してのお付き合いとかかな。うん。やっぱ自分の中のもやもや半端ないし。
「【今】が嫌なのよ」
「ふぅん?早く大人になりたいってかー?」
「まぁ、そういうこと」
なんか違うけど。まぁ20代半ばだったらもういいかな、みたいな。
「じゃああんたの言う20代半ばにまだ、ああいうアタックされたら付き合う?」
「え、ドン引きする」
「どうしたら靡くのあんた」
「大人になって大人の対応されてラブラブになりたい」
「ドン引き」
なんでさ
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