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「ふんがー!」
目が覚めて第一声。ふんがー!ちなみにドイツ語で空腹という意味らしい。意味わかっても意味わからん。なんか咄嗟に出ちゃう言葉、以上。
このところ毎日私は【あの時】の夢を見る。悪夢だ、まさに悪夢。何が悪夢ってそりゃあ…
「かっこ良くも無い男に肘打ちされて、身体密着させられた挙句突き落とされて死んだんだよ!?」
まさに悪夢。しかし神様、この程度では赦してはくれなかったらしい。
私はその日死んだのだが、結果的に生きていた。ただし五体満足…とはいかなかったらしい。なんだか見慣れた部屋とは違う、ちょっとおしゃれな部屋。可愛らしいネグリジェ(誰かに頼まれたって絶対に着ない)。装飾が施された鏡に映る自分らしき姿と目を合わせる。
とても、現実逃避がしたいです。
てへっ(はーとっ!)とウィンクしてみた。吐き気を催した。自分のキャラを見誤ってはいけない。深呼吸をする。目を瞑る。深呼吸…目を開く。もう一度鏡の向こうに居る私の姿を瞳に移す。何度見ても結果は一緒だった。つまり悪夢だった。鏡の国のアリス(わたし)は、私に優しくないようだ。
まさにロリ
あ、違う。そこまで幼くはないわ。10代半ばの自分の顔が鏡に映し出されていた。私の動きに合わせる様に鏡の向こうの私も動く。鏡の国のアリスは、紛れもなく反射された私の姿である。現実逃避終了。
「…なんで!?」
もう一度言おう
「なんで!?」
見た目は子供、頭脳は知らない。中身は子供から見たらおばさん(三十路手前)。どこぞの名探偵君より酷い。おばさん若返って誰得なのよ!叫びたい気持ちでいっぱいだった。
「なーんーでーよぉー!」
ベッドにあった可愛らしいクッションを放り投げる。机に直撃し、上の物が落ちたが気にしてられるか!うぉりゃああ!とクローゼットを開ける。英国風可愛らしい家具が更にむかつく!可愛いけど私の趣味じゃない!そして中身をみて絶望。
「…コスプレしろってか…」
制服一式、袋かぶって掛かっていました。一度クローゼットを閉める。デカイくせして主張するように制服だけ掛かってんじゃないわよ!
ふらふらと机に近づく。クッション投げて落ちたものを拾う。通帳。ん?通帳。書かれてる名前、My name。Oh…中身を見てみると、私が入社してからこの前までに貯め込んだ金額が記されていた。将来の為、とコツコツ貯めてきたウン百万。これはね、将来の為であって過去の自分の為のお金ではないのよ?
ぎゅっと通帳を抱きしめる。涙が溢れ出てきた。
「うぅ…あんのクソ後輩末代まで呪ってやる…」
最早呪いの言葉しか出てこない。
この後、若々しい母と父のエアメールを見て絶望で叫び声をあげるのだが以下省略。つまるところ、絶望人生第2ラウンドがスタートしたということらしい。アイツまじ呪う。
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