「そういえば烏野高校って先輩の幼馴染さんがいらっしゃる高校じゃありませんでしたっけ?しかもバレー部。会いに行って来たらいいかがでしょうか!」私その話後輩ちゃんにした覚え無いんだけどなんで知ってるんだろうか。態々話すことも無いからいいよ。それより、もう結構良い時間だし戸締りして帰ろうか。私はそう言う。窓の外は少し暗くなっていた。

「それでは先輩また明日ですー!」
「はい、また明日もよろしくね」

先に後輩ちゃんを帰らせ、一人生徒会室で一息吐く。あー部活申請書類コピーしてこないと。どうせ及川の事だ、無くしたに決まっている。ファイルを手に取り用紙を1枚取り出し、職員室へと向かう。生徒会室と職員室は棟が離れているから面倒だ。いっそ生徒会室にコピー機設置してくれ。とぼとぼと歩き、職員室へ着く。バレー部の顧問が居ないからきっとまだ部活中なんだろう。凄いなぁ、本当に。コピー機を借り、職員室を出てまた来た道を戻る。用紙1枚コピーの為になんという労力…及川マジで許さん。

「あ、間宮先輩」
「ん、国見お疲れ」

生徒会室に向かう途中でジャージ姿の国見に会う。気だるそうだ。いつものことって言えばいつものことだけど、やっぱり疲れているようだった。

「どうしたの?」
「及川先輩が、用紙貰ってこいって」

ちょっと顔合わせづらいって押し付けられました、とぼやく国見。あの馬鹿後輩をパシリに使うなよ。「でも片づけサボれたからまぁいいかなって」ちゃっかりしてる国見に脱帽だ。

「丁度コピーしてきたところだから、はい」
「流石、及川先輩の行動読めてますね」
「及川が提出期限とっくに過ぎてる用紙を持ってるわけがない。…で、どうする?ちょっとサボっていく?」
「クーラー…」
「まだ春先だぞ。付いているわけがない」

むすっと不機嫌そうな顔をする国見。一般生徒はまだ冬服を纏っているというのに何がクーラーだよ。寒いよ。俺は暑いです。知るか。そんな会話を生徒会室に着くまで続けた。


「あー…つかれた…」
「国見そんなに動いてたっけ?」

お茶を渡す、スポドリじゃなくてごめんね。というと塩キャラメル…と言われた。なんだこの後輩、遠慮が無いぞ。スクールバッグから塩キャラメルを出すと国見の顔が微かに顔が綻んだ。キャラメル1つでこの反応。可愛い奴め。

「試合の後、めちゃくちゃ練習させられた…」
「お、お疲れ」

もぐもぐとキャラメルを頬張ったかと思うと机に突っ伏した。結構堪えているようだ。暫く国見は机と一体化していた。どうしよう、これ。もうそろそろ電車の時間がなぁ…と思っていたら漸く国見が顔をあげた。

「先輩、まだ残っててくださいね」
「え、もう帰るよ」
「次の電車にしてください。俺着替えてくるんで。ここに居てください」

はいともいいえとも言わないうちに、国見は走り去ってしまった。…こうなると勝手に帰る訳にもいかない。そのまま時間を潰す。国見餌付用塩キャラメルもうすぐ終わるからストック買っておかないとなーなんて考える。あ、やば、あの仕事やってないや。明日朝やらなきゃ。とそこらへんに転がっていた付箋にメモ書きをし、机に張り付けておいた。するとパタパタと廊下を走る音が聞こえた。よし、と腰をあげる。

「お待たせしました、間宮先輩」
「ん。帰ろうか」

というか電車まで結構時間あるんだけど。じゃあコンビニでも寄って行きましょう、塩キャラメル買います。まだ食うか。そんな会話をしながら私たちは学校を出た。
次の日、生徒会の机に貼った付箋を見て、私は頭を抱えることになる。


「せんぱーい!この机のメモなんですかぁ?」
「…間違えた、どんな間違い方…」
「買い物メモですか?国見君みたいですねー」



【会長メモ:塩キャラメルを買う】



今日やるはずの仕事をメモった筈なのに間違えた…。昨日私何しようとしたんだっけ…。と5分くらいその付箋を睨み頭を抱えた。


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