「お久しぶりです若さん」

え?ウシワカと知り合いなの?とざわめく。キョトンとする天童さんと、あまり目を合わせたくない徹。こわいこわい。仲直りしたのにまた喧嘩に発展するのだろうか。そんな事を思っているとポンポン、と頭を撫でられた。


「…あかり、縮んだか?」
「さぁ…若さんが大きく見えるので縮んだかもしれないです」
「ちゃんと食え」
「すいません、ボケたのでつっこんでください」
「…?」

若さんが大きくなったのであって、私は断じて縮んでなんていない。じっと、若さんを見上げる。…あれ、なんか…?


「若さん今日は何処に激突しましたか」
「今日は家で窓ガラスにぶつかったな」
「相変わらずですね」
「バレー以外の注意力がないようだ」
「そうですね」

少し赤くなっているおでこをみて、またかと思う。私が会う若さんはいつもおでこを赤くしている。もうそろそろ頭に何かぶつけて死んでしまうんじゃないだろうか。

「え、なに若利君ドジっ子なの?需要ないよ」
「需要とはなんだ」
「まぁ需要は無いですよね」
「…?」

いや、徹にファンが居る様に若さんにもファンは居るかもしれない。そんな人の母性心を擽るかもしれない。うん、需要あるある。なんて馬鹿な事を思っていると、グイッと身体を引かれた。ぽん、と背中に温かさが広がる。


「ちょっと、ウシワカちゃんあかりとどーいった知り合いなの」
「友人だが」
「はぁ!?ユージン!?」

背中から徹に抱きしめられる。なにこの状況。「なんだ、あかりは及川と仲直りをしたのか」と抱きしめる徹を完全無視して若さんは私の頭を撫でた。噛みつかれますよ若さん。

「触るな!」
「そういえば最近姿を見ていなかったが」
「高校は東京通ってます」
「そうか」
「ちょっと俺を無視するな!」
「徹黙ってて。今若さんと喋ってるんだから」
「あかり!?」

がーん!とオーバーリアクションをする徹。力が弱まった腕から抜け出す。と、


「はーい!及川のシスコンも目に余るけどウシワカには近づかなーい」
「…ぅ、え?」
「はい回収。松川パース」
「ほいほい、岩泉パース」
「おう」

ピンクブラウンの髪の人に腕を取られたと思ったら、くるりくるりと、いつの間にか何故か岩泉さんに肩を掴まれていた。え、何この青城グループの若さん敵対心。先程より遠くなってしまった若さんを見る。


「なんだ、仲が良さそうじゃないか」
「当然でしょ」
「あかりはしょっちゅう家に帰りたくないと公園に一人でいたが」
「……そ、れは…」

目を逸らす徹。私もそっと目線を泳がせた。


「まぁ、いい。あかりが楽しそうだからな」
「…若さん…」

じぃん、と目が熱くなった。
むっと不機嫌な顔の徹は見て見ぬふり。


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