どんぴしゃ、です。



一応お咎めなしで、私たちは正座地獄から生還した。体育館での正座は少しつらいものがある。べふっ!と倒れるリエーフ君を余所に部員はせっせとコートの準備をし始めた。遠方帰りなのに凄いなぁ。なんて思いながら私も準備をしようとして…黒尾先輩に捕まった。おい、雑談しないで部活始めんぞ、と右腕掴まれた夜久先輩。面倒な予感しかしない。


「ところであかりちゃん、お兄ちゃんとの仲直りはどーだ?」
「…どう、って言われても」
「仲直りした後どうした?昨日一日メールの嵐か?」
「……?」

私は首を傾げる。仲直りした日、私は漸く入学式から送られていたメールを見た。見て…めんどくさくなったので一括ゴミ箱に送った。全部小言ばかりだったから、今更見ても…なんて。それ以降、私のメールボックスに未読のメールは無い。

「え、何あいつ。仲直りした瞬間チキンなの?」
「…暴言吐かないだけマシって思ってやろうぜ…」

じぃっと黒尾先輩と夜久先輩を見る。なんだか、こう…違和感。青葉城西の主将が兄だとは言ってあったけど…うん、なにか…おかしい。


「随分、徹と仲が良いですよね」

ぎくり、特に黒尾先輩が反応を見せた。「えーと、まぁ…なんだ…」としどろもどろになる黒尾先輩。「俺はそんなに関わってないし、その件には」と知らん顔の夜久先輩。


「黒尾先輩?」
「…えーっと…あかりちゃんのスマホ受け取った時、徹のアドレスとか抜き取りました」
「…ああ、あの時…え、抜き取り?」

個人情報抜き取ったけど気にすんな、なんてスマホ返されたときに言われた事を思い出した。あの時、徹の連絡先を…っていうか黒尾先輩、名前呼び捨てとか凄く仲がよさそう。私の知らないところで広がる友人の輪。それが兄と学校の先輩だと少し複雑。

「まぁ、別に良いんですけどね。お陰で、仲直りできましたし…仲直り、なんでしょうか…?」
「ん?仲直り…でいいんじゃねーの?徹がメールしてこないのが気になるけど…そういや昨日ラインも来なかったな…すげー五月蠅そうに語り始めるかと思ったんだけど」
「語るって何ですか」
「奴は思いの外拗らせてるって事だ。夜久ーお前なんか知ってる?兄に敵認定された夜久」
「知らない、つーか敵認定止めろ」
「目の敵にされない様に気をつけろ」

うるせ。と夜久さんは顔を背けた。…男には男にしかわからない話があるらしい。にやにやする黒尾先輩を見て、なんとなく夜久先輩が不憫に思えた。


「仲直り、出来たってことでいいのなら…私、ちゃんと言わなきゃ」
「なにを?」
「徹に、大切な話を」

なになに?と黒尾先輩が食いつく。…あんまり言いたくないなぁ、だって、黒尾先輩すぐ徹に話してしまいそう。私の中の黒尾先輩の株はだいぶ下がっているのだ。「教えません」特に黒尾先輩には、という副音声付で答える。


「えー、すげぇ気になる。もしかしてあれか…実は兄妹じゃありませんでした的な」





…間。

空気が固まった気がした。シンッと静寂が広がる。空気を察してか、コートの準備をしていたみんなの目がこちらに集まったのがわかった。
私は口をへの字にする。




「…ん?俺なんか言った?ヤバい事言った?」


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とても時間軸が可笑しいことになっていますがスルーしてやってくださいお願いしますお願いします(必死)
青城との練習試合(宮城泊)→烏野との練習試合(宮城泊)→岐路 といった流れになってます。もう本当にすいません。まったく時間軸なんて考えてませんでした。時期も。


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