さて、逃げ出す準備は万端だ。





「……」
「……」

元々部員は少なかったけれど。

「俺以外全員いないじゃん…!」

そりゃあ何かあったときの控えの選手も行きますよね。と言う事で、放課後現在体育館にいるのは私と、リエーフ君だけだった。…これは、ひどい。

「別に連れて行ってもよかったんじゃないかと思う」
「だよね!先輩全員で俺虐めて…犬岡も芝山も居ないし!」
「どうする?」
「うー…」


体育館で寝そべるリエーフ君。すると「おーい、何してんだお前ら」とクラスメイトの東月君が声を掛けた。

「人が居ない」
「…みりゃわかる。どうしたの?」
「みんな練習試合ででてっちゃった」
「リエーフと及川は留守番?」
「私は別に良いんだけど…」

リエーフか。うん、リエーフ君。
もう宥めようがないよ。どうしよう。すると東月君は「うーん…」と唸り

「バスケやってかない?」

こっちもお生憎とマネもメンバーも少ないんで。と肩お落とす。バッとリエーフ君は立ち上がった。

「やる!」

先輩達帰ってきたら、説教コースかな。ま、いいか。リエーフ君一人じゃ練習だって出来っこないし。くしゃり、夜久先輩に渡されたメモを握りつぶした。ごめんなさい夜久先輩、でもこんなロードワークばっかりのメニューじゃ流石に可哀想です。仕方がないからリエーフ君と一緒に怒られてあげよう。


「及川、バスケは?」
「出来るとお思いか」
「…いや、隠れた才能が」
「あかり運動神経良いで」

べちん。と身体が床に叩きつけられた。

「……」
「……」
「…転びました」
「見りゃわかる。で、リエーフ及川の運動神経が何だって?」
「なんでもない」

どうせ、私は運動神経ないですよ。無駄な体力と、ボール拾いが得意なだけだ。血は、出てない。ごめんね、足を止めちゃって。そう言って歩き出した。2分後、壁にぶつかりその更に3分後に東月君に頭から突っ込んだ。




▽△▽


「おー!リエーフと及川のバカップ」
「おーっと、手が滑った」

クラスメイトの二枝君が、東月君のボールを顔面で受け止めた。…バレーボールより断然痛いよね、バスケットボール。「あ、これいつもの事だから気にしないで」なんていう東月君。君の後ろで二枝君がのた打ち回ってるけど大丈夫?

「こっちも人少ないね?」
「バレー部より緩いし、3年勢はなんか呼び出し食らってるし」
「そうそう!奇数でチーム組みづらいし!何?リエーフバスケやる?」
「やる!」
「得点付け、やる」
「あ、地味に得点付ける人いなくてめんどうだったんだよ」

自分で入れた得点自分で加算しに行ってたんだ。と東月君は笑った。…なんて不憫な。

「つーわけで全員しゅーごー!」
「1年が仕切るなこんにゃろ」
「デケー。1年君バスケ部はいらね?」
「おっ、こっちの女の子も1年?可愛いね、よかったら先輩にメアド」
「おっとまた手が」



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前出たクラスメイトの名前付けました。
東月君→冷静ツッコミ担当
二枝君→ノリの良い男子
バスケ部です。みんなノリが良い。
バレー部他に部員居るでしょうが目を瞑ってやってください。


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