再会は、いつでしょうか。




「今週末から都内、県外の高校を転々と巡って練習試合するわけだけど。これに関してはベンチ入りメンバーのみで行うからなー」
「えっ!俺いけないんですか!」
「リエーフは論外」
「えー!!」
「で、あかりちゃんなんだけど」

黒尾先輩に視線を向けられる。「本当は手伝い要員で連れて行きたいんだけどなるべく人数押さえて行きたいから悪いけど留守番頼む」と言われた。まぁ、部費は無限ではないし仕方がないことだ。黒尾先輩には悪いが、私はホッとしている。配られたプリントに書かれた練習試合高校の一覧に「宮城 青葉城西高校」という文字を見てしまったから。

「お、最後烏野だ」
「おー、久しぶりにゴミ捨て場の決戦実現だ。猫又監督も機嫌いいし」

ゴミ捨て場の決戦とは。隣で研磨さんが「ゴミ漁るネコとカラスでゴミ捨て場の決戦」なんとも言えないネーミングだ…。研磨さん以外ノリノリなのだが。

「俺も留守番がいい」
「駄目に決まってんだろ音駒の背骨で脳で心臓なんだから」
「やめてほんとやめて」

研磨さんは本当に嫌そうな顔をした。背骨で脳で心臓…?「気にしないで本当に」と本気で言われたので今のすべて聞かなかったことにした。宮城は、青葉城西と烏野…だけ、かぁ。

「白鳥沢…」
「白鳥沢なー、流石にアポ取れなかったわ。ウシワカに会ってみたかったんだけどな」
「世界ユースの牛島若利な。すげーよな。あいつのボール受けてみたいよ」

ぼそり、と呟いた言葉を黒尾先輩に拾われていた。若さん有名人。全然会ってないなぁ、最後に会ったのいつだろ。中学2年、とか?

「あかりちゃん宮城だよな地元。ウシワカ知ってる?」
「…まぁ」
「ふぅん」
「…なんですか?」
「いやいや、こっちの話」
「そうですか…。あ、兄がこの青葉城西の主将です」
「知って」
「え」
「あ、いやなんでもない。そうなんだ、へー」

…なんか、へんなの。
駄々をこねるリエーフ君をなんとか宥め、昼のミーティングが終了した。




▽△▽


「いいなーいいなー練習試合いいなー」
「リエーフ君諦めて」
「だってーあかりも行きたいでしょ?」
「どっちかというと行きたくない」
「なんで?」
「兄に会いたくない」
「…そっかぁ。でも俺は行きたい」
「先輩達居ない間、一緒にご飯食べに行こうか」
「行く」
「じゃあ諦めて」
「……」

なんかさぁ、あかりちゃんリエーフの扱い上手いよな。獅子っていうよりお預けされてる犬みたい。わかるわかる。先輩達、聞こえてますよ。じっとリエーフ君を見ると、なんか垂れた耳としっぽが見える気がするから私も末期だ。

「うぁあああああ」
「なに」

がしっと抱きしめられる。「リエーフてめぇええ!」という怒号。あれ、なんかいつもと声が。

「女子マネにべたべたするとか羨ましいぞこの野郎ォオオオオ!」

モヒカン先輩もといい山本先輩だった。未だに直接話した事は無い。「山本うるせぇ」と言われ不憫だ。

「ちょ、夜久先輩アレ良いんですか!羨ましい!」
「本音だだ漏れだぞ山本。あと俺はあれが飼い主にじゃれついてる大型犬にしか見えないから許容範囲だ」
「っていいながら蹴ってるじゃないですか夜久先輩!やめてください!」

結局蹴られるリエーフ君の腕から逃げ出す。「ははは、ここは幼稚園か何かか」と笑う黒尾先輩に研磨さんと視線を送った。

「なに、お二人さん」
「幼稚園児の筆頭は」
「クロだと思って」
「おい」


----------------------
一度も出番がない福永君
よくわかりません(ごめんね)


<< | >>
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -