きっと、明日は踏み出すわ。




…あ、朝だ。目覚ましを見るとまだ5時過ぎだった。まだほんのりと薄暗い空。…今日って土曜日だったなぁ、と布団に潜り込むけど流石に寝過ぎたのか目が冴えていた。昨日8時に寝たし、こんなに寝たのは初めてだ。
今日は、どうしよう。買い物に行こうか……体育館へ足を踏み入れるか。顔を洗い、鏡越しの自分の見る。隈、大丈夫。頭、ぐしゃぐしゃ、いつも通り。ドライヤーで髪を整える。朝ご飯がない、材料もない。仕方ないからコンビニ行こう。今日はやっぱり買い物行かなきゃかな。ここで私は自分の決めた事を遠ざけている事に気づく。…早めの方が、良いんだろうけど…でも。

ぐぅ、とお腹が鳴った。そう言えば昨日の夜ごはんも食べてない。…これは逃げじゃない、買い物行かないと食べるものがないから、行かないだけ。そう自分に言い聞かせて私は取りあえず財布を持ってコンビニへと向かった。6時18分。








朝のメニューなんてあるんだなぁ、あんまりこういうの食べないから、おいしそう。誘惑に負けた私はコンビニではなくマックに来ていた。むー、何にしようかなぁ。とんとん、と肩を叩かれた。振り返ると、金…プリン頭の孤爪先輩がいた。未だに先輩か、2年か3年かもわからないけど。

「おはよう」
「…お、はようございます」

早いね、なんて言われた。孤爪先輩も随分と早いと思うんだけど。孤爪先輩「えっと、ぷちパンケーキとアップルパイ2つ」と注文していた。女子力…。ほら、早く頼みなよと言われ新作(多分)のハンバーガーとポテト、コーラを頼んだ。…女子力…。
そして何故か孤爪先輩と一緒に座る。孤爪先輩は相変わらずスマホ…ではなく今日はゲーム機を弄っていた。

「孤爪、先輩は」
「研磨でいいよ」
「……孤爪さんは」
「研磨」
「研磨さんは、随分早いですね」
「Wi-Fi繋げてゲームしたかったから。部活まで時間潰す」
「そ、そうですか…」
「敬語も要らない」
「……う、」

リエーフに話すみたいでいいよ、なんて無茶振りを言う。「善処シマス」というと「ん」と短い返事をした。漸くゲーム機を置き、目の前のパンケーキに手を伸ばす。私も食べよう。

「朝にしては、…いや、なんでもない」
「…昨日の夜から、何も食べてなくて」
「ああ、なるほど。じゃあ納得」
「ポテト食べます?」
「ん、パンケーキいる?」
「あ、甘いもの苦手です」
「えっ」

どうぞ気にせずポテト食べてください、とトレーを押しだす。私はコーラに口をつけた。コーラ飲むの久しぶり。この不健康極まりない味が何とも…半年に1回くらい飲みたくなる。甘くてそんなに好きじゃないけど。

「ねぇ、」
「は…じゃない。うん?」
「寝不足、大丈夫?」
「9時間寝たので大丈夫です。その前にも7時間ほど」
「…なんか、余計な事言ったみたいでごめん」
「そんなこと、ないです。…アップルパイ美味しいですか?」
「…あつい。ゲームしていい?あ、一口食べる?」
「いらないです、どうぞ」

アップルパイ片手に、研磨さんはまたゲームをしだした。…ナゲットも食べたい。食べ終わった紙をくしゃくしゃに丸める。「帰る?」と聞かれたので首を振って「ナゲット買ってきます」とレジへと向かう。

「まだたべるの」
「お腹空いてるんです。食べます?」
「敬語」
「たべる?」
「ん。…貰ってばっかりじゃ悪いからやっぱり」
「いらない」
「…そう」

ナゲットを口に放りこむ。辛さが足りない、マスタード足りない。もぐもぐと食べていると「今日、来る?」と聞かれた。見透かされているようだ。「食糧がないです」と言うと「…明日も部活あるから」と言われた。じゃあ明日行きます。そう言うと、研磨さんは一目私を見て「うん」と答えた。少し、笑ったように見えた。



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甘いもの嫌い女子VS甘いもの好き男子
とんでもなくマイペースな二人組


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