毎日が、きらきらしています。



「あ、の」
「ん?どうしたあかり」
「黒尾先輩、誘わなくて…よかったんですか?」
「いいのいいの、それともあかりは黒尾が来た方が良かった?」
「べつにいいです」
「ばっさり言うようになったなぁお前…」

夜久せんぱーい!あかりはやくー!!と100mほど先に居たリエーフ君が叫ぶ。行くか…今日は何処がいい?と聞く夜久先輩にどこでも着いて行きます、と答える。あ、どこでもいいは結局相手を困らせる返事だ。そう思い口を開こうとすると「じゃあまたあそこのファミレスでいっか」と夜久先輩が言った。

「…いいんですか?同じ所で」
「あそこ、しょっちゅうバレー部のやつらで行くんだ。気が楽でいいよ」
「…なら、大丈夫です」
「そろそろリエーフが暴れだしそうだから行くか」

そうして私達は足を進める。リエーフ君の前まで来たとき「おそいおそい!早く行きましょう!」と私と夜久先輩の手を取って走り出した。「おいちょっと待て!走りづらい!つーかどこ行くかわかってんのか!?」「え?どこっすか」「しらねーんなら走り出すな馬鹿!」縺れそうになる足、言い合う夜久先輩とリエーフ君が面白くて、すこし笑ってしまった。





▽△▽


「夜久先輩さっきからなにやってるんスか?」
「あー…黒尾……とライン。でも鬱陶しいからもうやめた。巻き込まれたくねーし」
「どういう意味っすか?」
「気にすんな。で、何食う?」
「焼肉定食!」
「……………」
「あかりめちゃくちゃ悩んでるな。また激辛シリーズか?」
「…今日は、普通の気分…です」
「前は普通じゃなかったのか」

この前は辛い物の気分だったんです。それにしても、このファミレスなんでもあるなぁ…麺類全般、中華、和食その他色々…この前黒尾先輩とリエーフ君が食べたがってた秋刀魚とお稲荷さんはないけど。家が割と田舎よりだったせいなのかな、宮城より全然……私そもそもファミレスそんなに行ったことなかった。普通がわからない。

「あ、白玉」
「ん?白玉ぜんざい?え、あかり嫌いじゃなかったか?甘いもの」
「白玉美味しいですよね」
「へぇ…いや、まて」
「?」
「白玉好きなのか?」
「はい」
「白玉オンリー?」
「もちろん」
「美味しくないだろ!」
「なんでです」
「味ねーじゃん」
「…食感?」
「本当に意味がわからない」

「え?あかり白玉ぜんざい好きなの?」
「やめろリエーフ、ループする」

何がいけないというのだろう。白玉、美味しいのに。ていうかもうボタン押しちゃいますね?なんてリエーフ君が呼び出しボタンを押してしまったので慌ててメニューを見つめる。

「ご注文は」
「焼肉定食!」
「えっと、野菜炒め定食で。…あかりは?」
「……えっと、地獄坦々麺」
「普通の気分って一体…。あ、あとドリンクバー3つ」
「かしこまりました。…あの、大丈夫ですか?地獄坦々麺、ウチのメニューの中で一番辛いものなんですが」
「あ、すいません気にしないでください多分大丈夫なんで」

確認されるほどのメニューってなんなんだよ、何度もここ来てるけどあんなん聞いたの初めてだぞ。とぼやく夜久先輩。俺、ドリンクバー持ってきまーす!とリエーフ君は席を立った。


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明らかに普通のファミレスではない。


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