<黒尾鉄朗の話>



<じゃあ本当に落ちるわ。通知ウザいから個人で会話してくれ。じゃ>

そうメッセージを残す夜久。これは本当に落ちたな。俺はあかりの兄貴にメッセージを送る。いやーマジで楽しいわ。「お前ら、あかりの何?」だってよ。これは決定だ。クツクツと笑いが込み上げる。「クロ、気色悪いから家着いてからやって」と研磨に白い目を向けられた。へーへー。もうすぐ家着くしな、とケータイに目を落とす。

「いや、ほんとに危ないから家着いてからやってよ。さっきからフラフラしてるよクロ」
「だってめちゃくちゃ面白そうなんだもんコイツ」
「…クロが気に入ってるあの子のお兄さん?」
「そうそう、予想超ツンデレ兄貴。予想は当たったみたいだけどな」
「どうでもいいけど、もうそろそろ車に轢かれるよ」
「そういう研磨もずっと画面から目が離れてませんケド?」
「今ボスだから」
「理由になってねーよ」

ここに夜久が居たならば2人して危ないだろと蹴られているところだ。咎める人間はいないけど、まぁ確かに危ないし、あと3分歩けば家着くからな。<家着いたらまた送るわ。おにーちゃん?>と煽りのメッセージを送り、制服のポケットにケータイを入れた。あ、ケータイ震えた。「おにーちゃんとか呼ばないでくれる?」あたりのメッセージだろう。にやける。「今日のクロほんとキモイ」と汚いものを見る目を向けられた、ひでぇ。

「研磨ーめし食ってくか?」
「いい、今日母さんいるし」
「おー、じゃあまた明日な」
「ほどほどにね」

へーへー、わかりましたよ。俺は研磨を背に俺は家の中へ。めし食ってく?って聞いたけど今日俺んち誰もいねーじゃん。廊下の電気をつけ、自室へ。荷物を放り投げベットへ寝っ転がった。さーて、さっきの続きと行こーじゃねーか。アプリを開くと、お、珍しい。あかりちゃんから通知が入っていた。

<えっと、デート中?です>

添付された写真。ぎこちない笑みでピースするあかりちゃん、ノリノリ笑顔であかりちゃんと肩を組みピースするリエーフ。写真撮ったの夜久か。つーか楽しそうだなちくしょう。俺もそっち行きたかった。

<俺というものがありながら浮気とはよくねーぜあかりちゃん>と返信しておいた。夜久あたり「そんなもん返さなくていいから」とか言いそうだし、返信は来ないだろうな。さて、と。及川兄と面白い面白い話し合いでもしようかねぇ。


<よォ、待たせたなおにーちゃん>
<ちょっとおにーちゃんとか呼ばないでくれる?>
<はは、思った通りの反応サンキュー。さて、及川兄のお名前は?>
<名前表示されてるんだからわかるでしょ。黒尾鉄朗君?>
<おいかわてつでいいのか?>
<とおるだ馬鹿野郎>

<なぁ、めんどくせーから電話しねぇ?>

乗るか乗らないか、微妙である。普通見知らぬ人間と電話なんてしねーわな。でも、それが可愛い妹と関係ある奴だとしたら。そしたら、どうする?

<ああ、いいよ。聞きたい事いっぱいあるし、ねぇ?>

やべぇ、こいつ超ちょろい。


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ちょろい及川。ちょろ川


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