※レムイリュ前提のイリュ―シャ独白です。暗いです。それでもよろしければ

Love forever




レムは僕にとって大切な友達で、親友で、唯一の希望なんだよ。


イリューシャは温室の花に水をやりながら、大好きなレムの事を想う。レムが来てからというもの、毎日がとても楽しく過ぎた。ひとりだった僕に話しかけてくれて、いつもいつも一緒に遊んでくれた。それだけで僕は、毎日がとても幸せだったんだ。

妹のリリンのことが大好きで、とても大切にしているレム。リリンもそんなレムの事が大好きだった。力強くも優しいレムの笑みと、純真無垢であたたかいリリンの笑みに囲まれて、僕も自然に笑顔が溢れる。大輪の花が咲いたように、キラキラとした笑い声が響く。

「イリュ―シャ、この辺りでお昼食べよう」
「そうだねレム、あたたかくて気持ちいいね」
「イリュ―シャ、これね、リリンが作ったの!」
「ありがとうリリン、すごくおいしいよ」

ふたりはたまに、僕の未来を視る力で占いをして欲しいとやってくることがあった。リリンは難しい病なのだ。それは僕の占いでも、病を少しだけ抑える薬草を教えてあげることしか出来なかった。それでも懸命に病と立ち向かうふたりに僕はどれだけ励まされただろう。

「イリュ―シャが笑うと、周りの草木も喜んでるみたいで不思議だな」
「そう…?」
「リリン、イリュ―シャの笑顔大好き!」
「僕も、ふたりの笑顔だいすきだよ」

「この病を治す薬を作るんだ」って、毎日遅くまで頑張っているレムを知ったとき、思わず胸の内が熱くなって耐えきらなかった感情が溢れた。
(――レム、本当は僕もね……リリンと同じ病なんだ……)
どうしても言えないこの言葉を必死に押し殺して。苦しくて辛い、でもそれは僕だけじゃない――。
小さな希望。レムなら、この病を治す薬を作るんじゃないかって。そしたら、君をひとりにしてしまわなくてすむ。ずっと、このまま皆で笑っていられるねって。



それでも、だれも運命には逆らえなかった。


リリンの病が悪化して、レムに笑顔がなくなった。今のレムには悲しみしかない。
(ねぇねぇイリュ―シャ、綺麗なお花が咲いてる場所教えて?お兄ちゃんにプレゼントするの!)
あの笑顔を取り戻したい――
大好きなレムをこれ以上悲しませちゃいけない。悲しませたくないんだ。
(イリューシャ!!エデンの花を…エデンの花を知っているか…!?)
だからレムがその言葉を口にした時、僕に躊躇いはなかった。

イリュ―シャは花に水をやっていた手を止めて、自身の手のひらをぎゅっと握りしめる。
うん、知っているよ――。レムがそれを望むなら。僕は、僕にしかできないことを。


想い出が走馬灯のように駆け巡る。その全てが楽しかった想い出なんて、僕は幸せ者だよ。
それでも最後にひとつだけ、レムに伝えたいことがある。これからもし僕に何かが起こったとしても、君は最後までリリンの傍で、リリンを幸せでいさせてあげて。それが僕の望み、僕にとっての幸せなんだ。
どうか、この想いがレムに伝わりますように。

温室から飛び出したら、冷たい風が肌を刺した。草木を揺らして、花びらを空中で躍らせる。
もし僕がいなくなっても、君が寂しいというのなら僕はいつでも君の元へ飛んでいくよ。こんな風に、風に吹かれる花びらと共に、ひらひらと舞う蝶になって。


どうか、少しでも長く、ふたりが幸せでありますように――
ふたりの幸せを願えるんだ。後悔なんてしていない。イリュ―シャは小さく笑う。それは幸せと希望に溢れた笑み。


――そして僕は、禁断の花に手をつけた。







20111126





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