ぬくもり (お題:もふもふ)




少し疲れた様子だったラブラドールをカストルの自室に案内して、少しベットで休むようにと促した。
疲れているせいか、ラブラドールは素直にカストルのベットへとゆるりと座る。

「少し待っていて下さい。温かい飲み物を持ってきます」
「え、いいよ!飲み物は僕が…」

立ち上がろうとしたラブラドールをカストルは制止して、部屋の奥へと行ってしまった。
(もう、少し疲れただけなのに、カストルは心配性なんだから…)
一人残されたラブラドールは横に置いてあった枕を手に取り、もふっと口元を埋めた。
少し大きめの、ふわふわした枕からはカストルの匂いがする。
埋めた口元をもっと深く沈めて、目を閉じてゆっくりと息をしてみた。
そうすれば疲れきった心が落ち着いて、まるでカストルに抱きしめて貰っているみたいだとラブラドールはふわりと笑ったのだ。



「お待たせしました、ラブ―…」

カストルがホットミルクの入ったグラスを二つ持って戻って来た時には、ラブラドールは枕を抱きしめたまま夢の中だった。

「おやおや、冷めないうちに飲んで欲しかったのですが、」

疲れていたのですから、仕方ありませんね。
カストルはもふもふ抱きしめている枕から覗かせる愛らしい寝顔に安心して、体を冷やさないようにとラブラドールに布団を被せる。
ベットサイドのテーブルにグラスを置いて、ラブラドールの隣へと腰を下ろした。

愛らしい寝顔を隠す前髪をかきあげて、その額にキスをしたい。そんな衝動を飲み込んで、今はゆっくり休んで下さいと薄紫の髪をさらりと撫でた。
そしてあなたが目覚めたとき、私の枕を抱きしめたまま眠っていた。
それに気づいたあなたの反応を見るのが楽しみですねと、カストルは静かに笑った。









20100706





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