morning




朝の澄んだ空気に教会の鐘が響き渡る。少し開けた窓からさやさやと入り込んでくる風が肌にあたってカストルはぱちりと目が覚めた。布団から上半身を起こして、今だ隣ですやすやと眠るラブラドールを見遣り、軽く肩を揺する。

「ラブ、そろそろ起きないと」
「…ん…ぅ…」

反応はするものの、体を丸めたまま起きようとしないラブラドールに「まあ、いつもの事だ」とカストルは苦笑じみた笑みを零した。体を丸めて顔に落ちてきたラブラドールの前髪を掬い上げ、元の位置に戻す。再び現わになった寝顔は普段よりももっと幼く見えて、カストルは抱きしめたくなる衝動を必死に抑えた。

「ラブ」
「…もう少し…カストルも…」

寝起きの甘えたような声で、もぞもぞと体を動かしたラブラドールの細くて白い腕がカストルの腰へと回された。寝ぼけているのか甘えているのか、こういう寝起きのラブラドールは愛おしくて堪らない。

「全く、ミサに遅刻しますよ…」

巻き付く腕をそのままに、甘えるラブラドールの額にキスを落とす。

「…っ、朝から何するの…カストル」
「おはようございますラブ。目、覚めたでしょう?」
「う…」

落とされたキスにピクリと反応したラブラドールの綺麗な藤色の瞳が、カストルの瞳とぶつかった。

「添い寝に誘われるのは嬉しいですが、それはまた今夜にでも」

お誘いお待ちしています ― と囁けば、途端に頬をあかく染めたラブラドールが抱きついているカストルの腰へと顔を埋めた。おやおや、と少し寝癖のついたラブラドールの髪を梳くように撫でて、当分離してくれそうにないこの腕をどうしようかと思考は浮上する。






(目覚めのくすりは甘めのキスで)






20100819





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