Dear.僕の大好きな信憑な君へ



今日一番に君に伝えたいことがあるよ。
大好きな君に、不器用な僕が言ってもちゃんと伝わるか分からないけれど。
今日のために咲かせたシンビジウムの小さなブーケをプレゼントにして、君に伝える最愛の言葉を僕は頭の中で模索している。
ふわふわの布団に2人で潜り込んだら、触れているところから愛しいぐらいの温もりが生まれるんだ。
伝わってくる香り、感触、温もりに酔いしれて、僕は一度閉じた瞳を再び開けた。

夕刻辺りから降り始めた綿のような雪は、きっと明日には綺麗な銀世界を作っているのだろう。
そうなれば素敵なホワイトクリスマスだね。
暗闇の中で月と星の光りに照らされて降り注ぐ雪は、まるでダイヤモンドのようにきらきらと輝きながら。
瞬いては瞬時に消える(溶ける)のだ。
君に伝えたい言葉を模索して試案してみても、どれも理想通りじゃないと消却していく僕の頭は、まさにそんな雪のように冷たいのだろう。

ふと、頭に余技ったのは少し前にカストルに言われた言葉。『あなたは甘いのです』と。
あの時の僕は君を治癒するのに必死で、その言葉をあまり深くは考えなかったけれど、
そうだね、僕は人に甘すぎて君に頼りすぎている。
でもそんな僕でも受け止めてくれるカストルの優しいところ、大好きだよ。

静寂の中で時計の針が小さく動き、一日が終わった。
そして教会の鐘の音が心地好く大地に響き渡って、記念すべき今日が始まる。
君に伝えたい言葉、たくさん模索した果てに出てきたのはありふれたシンプルな言葉だけだったけど、大切なのは羅列した文字よりも気持ちの重さだと気づいたから。
部屋の片隅に用意してあるシンビジウムのブーケと共にありったけの想いを込めて伝えるね。




「カストル、お誕生日おめでとう。それから、メリークリスマス」





From. シンビジウムと不器用な僕より










(シンビジウム 花言葉: 飾らない心をいつまでも)

20091224






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