お前の隣あなたの隣




二人分の息遣いが聞こえる静かな寝室で、カミーユの背中にシンは頭をつけ背後から抱き付いている。

背後から抱き付かれているカミーユはどうしたものかと思い、シンの方を向こうとした。

しかし、シンはカミーユがこちらを向こうとしたのを察して、背後から抱き付いている腕に力をぎゅと込め、小さく呟いた。

「ごめ、ん、カミーユ‥。もう、ちょっとだけ‥こうさせてくれ‥。ごめん。」

シンの震える声と仕草にカミーユまでも苦しそうな表情を作ると、カミーユは勢いよく身体を起こし、シンの方に向き直す。

「!?、カミーユ、こっち見んな!、今、凄い情けない顔してるから!」

そう、シンは言うと自分の顔を手で隠してしまう。

そんな、シンの行動にカミーユはムッとし強引に手を掴み、顔からその手を離してやる。

カミーユは真っ直ぐシンの目を見詰め、

「隠すなシン。例えどんなお前でも受け止めてやる。だから、隠すな。全部、俺に吐き出せシン。一体どうしたんだ?何があった?」

と、真っ直ぐな瞳でシンに問いかける。
シンは暫く押し黙りつつも、ぽつぽつと震える声で言葉を発し始めた。

「‥‥寝てたら、夢見たんだ。家族と楽しく過ごしてた子供の頃の夢。最近、見なかったからもう大丈夫だって思ってたんたけどな‥。やっぱり駄目だった。目が覚めたら周りに誰も居なくて‥!!自分が一人ぼっちなんじゃ無いかって‥!!恐くて‥!恐くてさ‥!!ごめん、情けなくて‥。」

シンの悲痛な叫びが部屋中に流れ、その紅い瞳からは大きな涙がぽつりぽつりと零れ落ちる。

カミーユはそんなシンの姿を目に焼き付けながら、身体を抱き締める。

「シン、別に情けなくない。お前は弱くない。だから、そんな風に謝るな。お前には俺が居る。一人ぼっちなんかじゃない。お前が寂しいなら俺はいつだってこうやってお前を抱き締める。だから、一人でどうかしよう何て思うな。俺の所に来い。俺の隣はお前の物なんだ。」

カミーユは、シンの目をしっかりと見据えシンに告げると
シンの目にはは驚きと喜びと戸惑いが垣間見える。

そんなシンの姿をカミーユはふっと笑いつつ、シンの耳元に唇を近付けて

「愛してるよシン。」 

と囁く。

その言葉にシンは耳の先まで朱くしながら照れた様に笑いながらカミーユの言葉に答える様に勢いよく抱き付き

「俺も愛してるカミーユ‥。俺の隣もお前の物だからな!!」

と、シンの言葉が寝室に響いた。






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