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▼ 焦がれ



凌牙に、会いたい

WDCも終わり凌牙も復讐という感情を吹っ切らせ俺達は会うことは無くなった。寧ろ会う理由は無くなった。たが俺はずっと凌牙が好きだった。

一年前の大会の後俺と凌牙は付き合い始めた。付き合うといっても凌牙があの時情緒不安定になり俺のもとへ来た。頼る人間も大切な人間も失い最終的に俺のもとへ来たというわけだ。しばらくは二人っきりの生活が続いた。だが俺は怖くなった。父のためとはいえ凌牙をこんな状況にしたのは俺だからだ。共にいる資格はないと知っていながらもいる事が心地よいと感じてしまった。多分その時から俺は凌牙の事が好きだったのだろう。好きだったからこそあの時離れた。これ以上一緒にいれば離せなくなるから、真実を知ったとき俺に依存した凌牙が壊れてしまうと思ったから。俺はなにも言わず出ていきこの関係を終わらせたのだ。

そして一年後、再会したときの凌牙はどこか吹っ切れたようだった。あの九十九遊馬のおかげだろう。嬉しくもあり少し寂しくもあった。そして最初に真実を告げたとき凌牙は憎しみを込めた目で俺を見た。少し嬉しかった。凌牙の心が俺に向いてることが嬉しかった。そこからはお互いを追いかける存在になった。俺だけを見る凌牙の目はたまらなくここちがよかった。離れていてもやはり俺は凌牙が好きなのだと思った。例え自分を演じ凌牙の憎しみを増やすだけの役目だとしても、凌牙が俺だけをみているという事実は俺をますます凌牙に依存させた。

そしてあのデュエル。凌牙とのデュエル。俺は負け本当の真実を告げるとこができた。俺が犯した事実は変わらないが。あの後凌牙がどうなったのかどう思ったのかは知らない。だが九十九遊馬と天城カイトのデュエルを見ていた凌牙はどこかすべてを吹っ切れた綺麗な目をしていた。今、凌牙が幸せなら俺は嬉しい。妹の璃緒も目覚めたと聞いた。これ以上凌牙が大変なめに会わないといいがどうだろうな……

凌牙に会いたい。それはずっと凌牙に会えなくなったときから思っていたこと。今何をしているのか自分の目で見たい。凌牙は迷惑かもしれないが……会うとき凌牙はどんな反応をするだろうか。今までのこと許してくれるだろうか、憎しみもなく目を合わせて話してくれるだろうか。
もう一度好きと言えば付き合ってくれるだろうか……
ああ、今日も焦がれながら一日が過ぎていく。




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