覚えているだろうか。
君と俺が出会った夏をー…。


ドンドン ドンドン

その日は祭りだった。
俺は兄弟達と祭りに来ていた。
周りは華やかな装飾で彩られ、正直俺たちの格好は浮いていた。
それでも祭りは楽しかった。

でも数時間たったころには俺はヘトヘトに疲れた。
久しぶりの外の世界に疲れてしまったのだろうか?

そのときだった。
一人の少年が話しかけてきたのは…

「あんさん何してるん?」

振り向くとそこにいたのは少年だった。

「いや…疲れたから休んでただけ…」

ふぅん…と納得したような表情を浮かべた後、何かを思い付いたようにこちらを見てきた。

「それにしてもあんさんは大きいなぁー、やっぱり牛乳を飲んだらそんなに大きくなるんか?」

そのときの目は輝いていた。
俺とは別の世界に存在しているようなそんな目だった。
適当に答えてみた。
するとその少年はその輝きを増した笑みを浮かべ楽しそうにその答えを聞いていた。

正直辛かった。
俺も今より若かった時はこんなに笑えたのだろうか?
分からない。

「あんさん難しそうな顔しとるで?あ、そうや!これあんさんにあげるわ!!これで元気だしてや」

心配そうな表情で見てきた少年はポケットから向日葵を取り出し俺の髪に添えた。
何故だろうか、笑みがこぼれた。

「あんさん、笑った方が可愛いで!!……あっ!!そろそろ帰らんとトモに怒られる。ほな、俺はこれで。また会えるとえぇな」

まるで台風な子だった。
でも俺に僅かな光をくれた。


今でも元気にしてるだろうか?

もし、また会えたら



向日葵をくれるだろうか









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