jealousy
坊はちゃんと俺のこと見てはる?
いつもいつも、奥村君とばかり話してる坊を見て、胸が締め付けられる…
好きって言ってくれはったんは嘘なん?
坊が恋しい…愛しい…女々しいんは分かっとるけど、やっぱりあきまへんわ…
「……少しくらいこっちむいて下さい…」
涙が頬を濡らすのには知らない振りをした。
が、仏様はそれをゆるしてくれはしなかった。
「泣くくらいなら最初からそう言えやアホ…」
フッと唇を掠めた温かなそれは間違いなく、
「ふへっ!?」
「…ふへ…って何やねん…。にしてもようやっと俺を呼んだな?」
「あ、あのっ!?坊!話が見えへんのですが?」
坊は俺に向かって柔らかく笑っている。
これが幻ではない証拠に…
「悪魔の気配がせぇへん…」
「当たり前やアホ!」
「ほな、坊…ですか?」
「さっきから話しとんのは誰や思うとるんや?」
辛辣な言葉も、再び触れてくる唇も間違いなく慣れ親しんだ坊…恋人のもので…
俺は衝動のままに恋人に飛び付いた。
「…幻と会話なんてしとうないです…、…奥村君と話す坊があまりに楽しそうで嫉妬しとりました…寂しかった…」
「…話が支離滅裂やんか…」
呆れながらも背中を叩く手のひらは暖かくてホッとした。
(あいつら何教室でいちゃついてんだよ…)(…まあ、全ての元凶は兄さんなんだけどね…)
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