Silver spoon wars
ふしぎなお茶会、きらめく銀の匙

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 メルトが覗きこんでいるそのビー玉の向こうの彼女の瞳には一体何が写ってるのかしら。なんて考えながら、目の前に置かれたラムネを一口口に含む。ぱちぱちと痺れるそれはすぐに飲み込むのは難しく、少しずつゆっくりと流し込む。

「  ……にしても、クッキーとラムネって謎の組み合わせね  」

 そう告げると彼女はぱちぱちと瞬きをしながら、こちらを見て首をかしげる。そしてビー玉をこちらに差し出し、クッキーを一つ頬張った後にゆっくりと飲み込み、口元に弧を描く。

「 だってビー玉ってヴァレちゃんみたいだから、バレンタインに送るのはラムネにしようって決めたの 」

「 ………わたし? 」

 再びビー玉を持ち空に透かす。それはゆるく乱反射して色々な輝きを放つ。ガラスが織り成すその模様に思わずほうっとため息をつく。

「 だって澄み切ってて綺麗でしょ、それでね、バレンタインは好きな人に好きなものをおくるってあったから、ラムネとビー玉を送ったの 」

 そういったあと彼女はようやくビー玉から目を離してこちらをみる。こんな小さな玉にわたしは少しだけ嫉妬していたのかもしれない。でも今日は多分いい日だ。だって、最愛の恋人といられるんですもの。

「 ヴァレちゃん、はっぴーばれんたいん 」

「 メルト……、ハッピーバレンタイン 」

 手を繋いでおでこを付き合わせて、ふふっと微笑む。神様なんて本当にいるかわからないけど、この幸せがいつまでも、ずっと続きますように。


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