Silver spoon wars
ふしぎなお茶会、きらめく銀の匙

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 0.3のシャー芯が折れたのは、今日で一体何回目だろうか。0.5と0.3では、こう、根本的にちがうのだ。書き心地というか、味というか、とにかく病みつきになるなにかが0.3にはある。0.2?あいつは、だめだ。
 さて、わたしの所属する高等部2年a組の文化祭の出し物は、この珍妙なピタゴラスイッチ。特にるるるんっ、とするようなこともなく、その仕組みはいたって平凡、客足もなかなか振るわず、正直言ってかなりつまらない。先程から通算10回ほどシャー芯を折った。華やかな文化祭に反して、この教室の彩度は著しく低い。るるるんっ、としない文化祭なんて、もうそれって、なんの修行?文化祭開始から2時間、わたしは既に文化祭の存在意義を見失い始めているところだ。わたしはうーーんと唸って、用紙の上に頬杖をついた。
「おいお前、そんな思いっきり乗っかったら用紙がくしゃくしゃになるだろ、ばか」
 そう言いながらわたしの肘の下の用紙を引っ張るのは、同じクラスのクザトくん。彼は口の悪さと強がりををこねた上に、寂しがりやのソースをどばどばとかけたような男だ。要するに、素直じゃないのである。
「だってさー、全然るるるんってしないんだもの。ぴたごらしゅいっちってさ、要するに手抜きじゃん?せっかくの文化祭なのに、なんかしくしくーってかんじ。」
「噛んでんじゃねーよ、ばか」
 くーちゃんは、手持ちのバインダーでわたしの頭をばしっと叩く。2年a組の教室が繁盛する気配は、一切ない。


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