Silver spoon wars
ふしぎなお茶会、きらめく銀の匙
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もくもく、もくもく。煙のようにそれはドーナツ型の機械の中で生み出され、ワタシがくるくる割り箸に絡めとっていく。そのワタシの行動はまるで機械的で、体はひとつの感情で動かされていた。
「ワタシの芸術的なわたあめを簡単に食べてしまうなんて…酷いではないか」
むっすりと膨らんだ頬の理由はそれだ。先程素晴らしい出来のわたあめができたというのに、二人して何も発さなかったのだ。ルトメさんに至ってはぱくりと食べてしまったし、コトトさんは明らかに目線を逸らされたし。…もしかして、あのわたあめは素晴らしくなかった、のだろうか。そう思えばそうとしか考えられず、とぼとぼと戻ってきたのだ。
…けれどこの男、当然落ち込むだけな訳がなく、次はもっとかわいらしいわたあめを…!なんて燃えてしまったようで。ふよふよと作り上げられるわたあめを眺めては、ふふん、と挑戦的な笑みを浮かべていた。
「……ウム、これは中々最高傑作なのでは…!」
最初に二人に見せたものとは違い、もう一回り大きめのわたあめを掲げ、きらりと瞳を輝かせる。今度は配置だって気を配ったおかげで、かわいらしいアニマルに見える。…気がする。
今度こそかわいいって二人に言ってもらえるだろう!先程の不機嫌は何処へやら、えへへとアニマルわたあめに笑いかけてはるんるん足でまたも二人のところへと駆けていった。