( 注意 死ネタ、数年後捏造です。左右を特に決めずに書いたので地雷な方はそっと閉じてください )

  △△の独白

 「 100年後も変わらず、△△さんを愛しています 」
 そうピアノに座り鍵盤を弾きながら月光のもとで微笑む彼女は綺麗だ、と思った。お世辞でもなんでもなく。僕はそんな彼女に照れ隠しで「あっそう」しか言えなかった。僕たちはきっと友達というには近すぎて、親友というには遠すぎた。恋人というにほんの少しの勇気が足りなかった。

 僕たちはとても似ていた…、と思う。今となっては確認する方法は写真とか彼女と仲がよかった人に聞くしかないけど。それは容姿だったか、
性格だったかは覚えてい。でもパズルのピースみたいにカチッとはまって一緒にいると何となく安心したのを覚えてる。ピアノを弾く彼女の隣に座りその演奏に耳を傾け頭を預ける。それだけで僕たちは分かり合えていた、そういう気なっていたのかもしれないけど。決まった日にちにあってたわけじゃない。なんとなく屋敷の地下にある音楽室によれば彼女は優しく微笑んでむかえてくれる。秘密の密会?みたいな感じかな、少し照れくさくて少し寂しい気持ちを埋め込むようなそんな秘密の時間。

 秘密の密会が開催されるようになって何度か季節がめぐった冬の終わりから彼女は頻繁に体調を崩すようになり、地下にあまり来なくなった。地下にたまに来ても顔色の血色も悪く、よくせき込むようになった。そっとその背中をさすると困ったような笑顔を浮かべて「 ピアノを聴きに来てくれてるのに、満足に弾けなくてごめんなさい 」という。僕はそれを聞こえなかったふりをした。君に会いに来てるからそんなの気にしなくていい。その言葉はどうしても言えなかった。

 「 僕も愛してます 」

 その言葉を彼女に告げる事は無かった。そんな機会は彼女を蝕む病に奪われた…いいや、僕の意気地がなかったせいだ、変なプライドが邪魔しなかったら。なんて考えても全て結果論でしかない。春のあたたかな日に彼女は病院でひとりひっそり息を引き取った。彼女が残した日記は僕が貰った。僕に読んで欲しいと彼女の母親からいわれたから。でもそれはまだ読めてない。読んだら彼女の死を嫌でも受け入れてしまいそうで、怖かった。

「 僕の意気地なし… 」

 そう呟いてもそれに答える声も優しい音色も聴こえない。彼女が亡くなって初めての夏が来た日、僕はこの日初めて声を上げて泣いた

 彼女が無くなって一年目の春が来た。僕は暖かい日差しの中をキキョウの花束を持って彼女の墓場を訪れる。そっと花束をおき、手を合わせ目を閉じる。

「 ロゼチャン、意気地なしの僕を許してくれる? 」

「 あのね、ロゼちゃん、僕も100年後も来世もずっと君を愛してるよ 」

 ふんわりとした風がふき、桜の花弁が舞う。髪の毛押さえてそっと目を細めると、不意に彼女の声が聞こえたきがした。

『 私も、リコットさんのことを愛してますよ。100後も、ずっと永遠に 』

 相変わらず優しいその声に僕は彼女をなくしから二度目の涙をながした。

キキョウの花言葉は「永遠の愛」「誠実」「清楚」「従順」。
「永遠の愛」「誠実」の花言葉は、キキョウが恋人のために一生涯待ち続けた娘であったという物語に由来する。

キキョウの英語の花言葉は「endless love(永遠の愛)」「honesty(正直、誠実)」「the return of a friend is desired(友の帰りを願う)」「obedience(従順)」。


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