Silver spoon wars
ふしぎなお茶会、きらめく銀の匙
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彼はクッキーの味を知らない。彼女が彼にクッキーを差し出す。彼はそれを手にとって口に運ぶ。咀嚼し、飲み込む。彼は「おいしいね」と言う。しかし彼はクッキーの味を知らない。そのクッキーにチョコチップが入っているだとか、ぱさぱさというよりしっとりしているだとか、そういうことも、知らない。
彼は「おいしいね」と言う。しかし彼はクッキーの味を知らない。でも、「おいしいね」と言う。彼はそう言うば彼女が喜ぶことを知っている。
彼は味の知らないクッキーの感想を聞かれたら、「おいしいね」と言う。今日のメイクだとかファッションについて聞かれたら、「かわいいね」と言う。そして、「好き」と言われたら「好き」と返す。
彼はクッキーの味を知らない。いつの日か、彼が誰かにクッキーの味を教えてもらう日まで。