Silver spoon wars
ふしぎなお茶会、きらめく銀の匙

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 雨の日は嫌いだ。じめじめするし、頭は痛くなる。それにほらなんか不気味じゃない?、そんな中、傘を差しながら公園を歩いてるのは、なんとなくだった。お姉ちゃんと喧嘩した訳じゃない。ただなんとなくあの屋敷が居心地が悪くなっただけ。まるでそこだけ酸素が無くなったみたいに。だんだん上手く呼吸が出来なくなって、喉の奥がきゅっとなるの。そう、だから公園であの子を見つけたのもほんの偶然。

 雨の中傘も差さずに一心不乱に手で穴を掘る知り合いを見つけたらいつもだったら無視をするんだけど、今日はなんとなく気分でそのまま近づいてみた。なにも呟かず、ただ穴を掘るそんな彼の側にそっと腰をおろす。

 「 イルくん、貴方何をしているの? 」

 そっと手を止め、こちらを見つめる左目のアメジストは涙ぐんでるようにも見えた。まぁあたしには関係ないんだけど。ただ一瞬、視線が交わったがそれはどちらともなくそらされた。そして彼はまた穴をほる。その隣に積まれた土を見て、そっとお城を作り始める。

 「 ……今日は、お葬式だねぇ、ボクと寧の 」

 そういう彼はもうひとつ穴を堀始める。もうお城が出来上がった私はその作業をそっも首をかしげる。まだあたしたちはいきてるじゃない。そんな言葉を飲み込みながら。邪魔になった傘を畳みつつ、その水が地面に流れてくのを見つめる。

 「 こっちが、寧が殺した気持ちのお墓……こっちが、ボクの兄妹への気持ちを殺したお墓 」

 そういって、満足そうに笑いながら手を合わせる彼に文句を言おうとしたが、その言葉が心のどこかにひっかかってそのまま、言葉にも気持ちにすらならなかった。あたしのお墓の隣のお城はところどころ塗装が剥がれかかったツギハギのお城だ。まるであたしの気持ちみたい。そんな事を思いながら同じように手を合わせる。

 「 そんな変なことをするなんて、イルくんは変わってる 」

「 そんなの今に始まったことじゃないでしょ? 」

 そういって、パンパンとズボンについた土を払いながら彼は立ち上がりこちらに手を差し伸べる。その手をそっと取ると、彼は一瞬不思議そうにきょとんとした顔をしたあとぱっと笑顔を作る。

 「 そろそろ帰らなきゃねぇ……どう、呼吸はできるようになった? 」

「 悪趣味って言葉をご存知? 」

 そういいながらあたしたちは屋敷の前までの距離を手を繋ぎながらお墓を後にしてあるいていく。すっかり晴れた空にはうっすらと虹がかかっていた。明日にはあのお墓も気持ちもきっと無邪気な子どもたちが壊すのだろう。そう考えるとくすりと笑みがこぼれる。醜くて黒くて泥々した気持ちを無邪気な子どもが掘り起こしてまた殺すのだ。

 「 ねぇ、イルくん、虹には光はないんだって 」

「 ふーん、そうなんだ……ボクたちみたいっていいたいの? 」
 
 「 さぁ、どうだろうね 」

 曖昧に誤魔化すと、なにそれと避難する彼の言葉を無視して、そのまま歩を進める。そっと




 78%   


 ___にとって△は窒素だ。酸素じゃ濃すぎる。かといって二酸化炭素ほど毒があるわけではない。ただそこにいてくれるだけでいいの。恋人というのには遠すぎる。かといって他人というのには___には△との距離が近すぎた。そして足りない1%を埋めるように__は△に78%の献身をしてあげる。それでもまだ___はいや、___たちは100%にはなれない。



 21%

 __にとって、◇はなんだろう。他人ではない。友だちと呼ぶには1%足りない。__はお互いに寂しさを埋める道具なんだ。だから78%そこにいてくれればいい。◇が壊れそうなときは仕方ないから、たまには__が21%を埋めてあげるんだ。100%になるには、あまりにも__たちは、大切なものがありすぎて、それでいて、必要なものがかけていた。
 














 『 1%はまだいらない 』




を見つめながら。



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