拝啓
 北半球が銀河の微熱にうなされています今日この頃、わたくしは一週間後に期末テストを控えておりますこと、とてもとても怯えております。怯える暇があればテスト勉強をしろと自分も言いたいのですが、何せ金曜日学校を休んだために勉強道具が欠片もない。英語の暗唱例文集(テストに出る)も、社会のノート(まだ半分しかまとめていない)もない……!ならばもう諦めてあとがきを書くしかあるまい。そう開き直っていますわたくしは、金曜日よりは体調も大分良くなりまして、元気です。みなさまはお元気ですか。
 もうわたくしは中学三年生でありまして、中学校に入学したのがずっと前のようなそうでないような気がしています。入学式があったのは随分前のような気はするけれど、部活に入部したり別所にまた入り浸りだしたりしたのは随分最近のような気がします。ぎんさじももう一周年ですが、時間が流れるのは速いのか遅いのか、まったく見当もつきません。300年前のことというのは随分最近のことなのでしょうか。138億年前に宇宙が誕生したというのは随分昔のことなのでしょうか。時間の流れに速いも遅いもないのでしょうか。
 ただひとつ、時間の流れについて言えるのは、時間の流れには抗えないということだけです。風には抗って立つことができるけれど、時間には抗えない。
 ならば、時間の流れを向かい風と見立てて抗うより、時間の流れという追い風に背中を押してもらう方がいいのではないのかなあと思います。
 時間が無常に川岸の泡沫のように流れてしまうのは、なんとなくいやですけれど、でもたしかにそこに時間が流れていたというのは今があるからわかることです。一年前、みなさまとぎんさじを立ち上げた流れが今も続いていますこと、とても嬉しく思います。
 さて、今日はこの辺で閉じたいと思います。こんな御時世ですが、みなさまがご健康に過ごされますように。
 追記:なんか1周年おめでとうしか言えなくなっちゃみたいで、あとがきが何なのか忘れちゃいました。裏話的なのをひとつ言うと、わたくしはこのアンソロに引用させていただいた短歌をついったの夜空の短歌botで見つけました。短歌の31字しかないからこその言葉の選び、胸に矢がばすばす刺さってきて面白いなあと思います。わたしは詠めないけど!
かしこ  
  7月11日
銀河のはしくれの飴玉  
溢れんばかりの文才をも人を惹きつける引力に変えてしまうぎんさじ民のみなさま

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 7月読書感想文

 さゆりさまの『だから。』を読んで
 とてもかわいいリコリク……。リコリクはどちらもあまり(かなり?)素直でないところがとても読んでてにやにやしてしまうのですが、拝読した今回のリコリクも思う存分にやにやさせて頂きました。
 冒頭の2行からそのリコリクのうまみが小籠包のスープ並みにどばどば溢れていて、大抵の読者はここで頭を抱えてしまうでしょう。もう!!リコリクってば!!、と!わたしも勿論例外ではなく、その甘さと苦さのマリアージュに賞賛の意を込めて眉間を渋くさせました。も〜ほんとうリコリクはリコリクなんだから……もどかしいぎんさじNLCPコンテストグランプリ受賞者め!!!
 「…風が吹いた。けど、ブランケットのおかげであんまり寒くない、な。」リコットちゃん、とてもかわいい。特に「けど、」が。タイトルとは違って逆接。リクさんがいたときに吹いた風とは違って寒くないというふうにもとれて、ああやっぱり強がりさんなんだなあとにっこりしてしまいます。
 そしてラストでは「だから」が2連続くのですが、やっぱりその次は何も言わないのがリコリクなんだなあと思います。たぶん「だから」という言葉が似合うCPは二種類あって、「だから……って『だから』に続くのは何なの!?」ってさせるのが似合うのと「だから〇〇ってなんで『だから』なの!?」ってさせるのが似合うのがあると思うんですけど、リコリクは前者なんだなあと思いました。

 めるつさまの『瞬間の煌めき』を読んで
 瑠璃さんの謎が粗方解けて、今日は大発見の大漁日和だったようです。3月アンソロで瑠璃さんをお借りしたときに抱いていたイメージよりもっと「おんなのこ」と「高校生男児」との振れ幅がドデカイことがわかって、そうだったのか!と目から鱗でございます。
 でもやっぱりそこはブレないのだなと感じたのが瑠璃さんのお口の流暢なことで、軽快な地の文はとても読んでいて心地良くて、瑠璃さんの明るさを感じました。まばゆい。「瞬間の」煌めきどころではないエネルギーが彼/彼女の中には眠っているようです。
 瑠璃さんは女優なのか男優なのかというのがわたしは疑問だったのですが、彼/彼女は「おんなのこ」を「演じている」のではなくて、「おんなのこ」と「高校生男児」の間を自由に駆け巡るのが「瑠璃」の名を持つ彼/彼女であり、役者ではないのかなと考えてみたりしました。「『俺』と『瑠璃』は全くの別物だ」と自身では言っているけれど、「俺」には「瑠璃」が必ず眠っているような気が、最後の段落で感じられて、だからこそ駆け巡られるのではないかなあなんて!
 瑠璃さんについてますます考察が深まってとても楽しかったです!



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