Silver spoon wars
ふしぎなお茶会、きらめく銀の匙
TOP
「じゃあこれ、今度こそあられにプレゼントな」 そう言ってわたされた、あかいろがいっぱいのおはな。それをくずさないように、りょうてでそっと受けとったら、ふんわりあまいかおりがした。それがなんだかバンおにーちゃんのかおりみたいで、うれしくて、もっともっとぎゅってしたの。 「あー、そんなぎゅってしとったら花潰れんで」 「だいじょーぶ!あられやさしくぎゅってできるから、いいの!」 「なんやそれ」 あられがそう言ったら、バンおにーちゃんはわらってあたまをすりすりなでてくれた。それがきもちよくて、もっとっておしてみたら、またバンおにーちゃんはわらった。 「にゃは、なんやあられは蝶みたいやなあ」 くすくすとおさえるように笑うおにーちゃんは、そっとあられの髪をととのえてくれる。その手つきがやさしくて、またてをのばしそうになって、あわてておはなにめをむけた。そうしたらかふんにやられちゃったのかな、ぽうとしたかんかくのまんま、なんとなくおはなをゆらしてみる。 「…バンおにーちゃんは、おはなのみつみたい」 ふとあふれたおもいが、ぷかりとおそらにうかぶ。たぶん、バンおにーちゃんはあられの言ったことのいみ、分かってるんだろうな。だって、かおがまっかっかなんだもん。 それを言っちゃったあられのほっぺたもあかくなった気がして、ぽふんっておはなにまぜてみる。そうしたらはなびらがいっぱいまっちゃって、それがきせつはずれのゆきみたいで。それにふたりでわらいあって、またいっしょに手をつないだの。 |