冴ゆる宇宙に

1.深雪  
2.孤独の星
/.あとがき


あとがき

 この二つのおはなしを書くとき、チャイコフスキーの感傷的なワルツ(Op.51, No.6)をずっと聞いていました。ふくよかなAsの音から始まるテーマが美しいですね。本当はくるみ割り人形を聞きながらもっと別のおはなしを書こうと思っていたのですが、なぜかこのワルツを聞き始め、そうしているうちにうぇろぜが出来てしまいました。謎ですね。あめだま七不思議のひとつに数えることにしましょう
 二十億光年の孤独、という有名な詩がありますよね。『孤独の星』を書いているとき、その詩がふっと浮かんできました。それから、考える葦の例えも浮かんできました。――人間は思惟によって宇宙を包むことができるが、他の物はそうはできない。星が宇宙を包むことはできない。それどころか、隣の星を思いやったり気に留めたりすることもできない。認識さえしていないかもしれない。星は孤独だ。でも、人間は思惟することができると言ったって、すべてを思いやれるわけではない。人間も孤独であり、万物は皆孤独である。万物は皆引き合っているというのに、いつも孤独だ
 本当はもう一篇書いて、三篇仕立てにしようと思ったのですが、やめました。そのプロットはお蔵入りになります。人生こんなものですね。それでは皆様よいお年を!

2021年12月25日


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