5万打フリリク! | ナノ


「い、意味が分かんないです……。前世とか、先生そんなスピリチュアルなもの信じる人でしたっけ?」

その場をごまかすよう、とぼけて言う。しかしあまり効果はなさそうで、むしろ先生の勢いを加速させただけだった。

「とぼけんじゃねえ。お前だって夢に見たはずだ。時代錯誤な世界に、妙な化け物に、血生臭い戦争に、俺に」

着流しを着てたろう、俺は派手な行事が好きだったろう、その後ろにはいつだってお前がいただろう。
私だけしか知らないはずの夢の中のことを当てられ、私は固まるしかなかった。なんでそんなことまで知ってるの、と漏らしそうになるのをなんとかこらえるものの、口元が引きつる。血の気が引くのが自分でも分かった。

青ざめる私に先生が勝ち誇ったような表情を見せた。ああ、私はこの顔を知ってる。昔、企み事がうまくいったときによく見せていた。

「ずっと探してた。ようやく見つけたときはようやくかとも思ったが、肝心のお前が何も覚えてねえんだ。そらァ歯痒いに決まってる」

でも、と少し穏やかな声音で先生が続ける。

「……目が、変わってきた」
「目?」
「俺の後ろにいたとき、あのときとおんなじ目をするようになった」

咄嗟に先生から視線を外した。先生の笑う声が聞こえて、目を逸らすのは間違いだと悟った。けど、もう遅い。

「なまえ」

びく、と体が震える。懐かしさを孕んだ声に、思わず返事をしたくなった。泣きたくなった。

「これで終いにさせてたまるかよ。なまえ。やっと見つけたんだ、お前は俺のだ。そうだろうが」
「……っ」

ああ、もうだめだ。視界がぼやける。目頭が熱い。我慢できない。
先生が再度私の名を呼ぶころには、私は既に泣いていた。

「なあなまえ、」
「はい……」
「今日で終わりか?全部なかったことにするのか?」

首を横に振る。安堵したような表情を浮かべて、先生が笑った。

「……今からでも、間に合うかな」
「むしろこれからだろ。今日でくだらねェ教師と生徒の関係もおさらばすんだから」

うん、と頷いて先生を見据えた。先生もじっと私を見つめていた。

「また、やり直そう、晋助」
「当たり前ェだろ、なまえ」

互いに笑いあう。あの夢の続きを、今日から始めよう。

曇天だった空模様は、いつの間にか太陽が顔を出していた。



END
鈴さまへ!

back/next
×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -