5万打フリリク! | ナノ


ぽきん、とシャーペンの芯が折れたのをきっかけに、集中力までぶっつり途切れてしまった。途端に耳から曲が流れてきて、そういえば音楽を聴いていたなと思い出す。時計を見ると結構な時間が経っていた。
一度集中が切れると、なかなか戻ってきてくれない。机に向かってしばらく頑張ってみたのだが、iPodから流れる曲にばかり意識が行ってこれ以上はもう無理だなと諦めた。

シャーペンを机に置いてふとカレンダーを見る。本試験まであと1ヶ月を切っていた。はああ、と重いため息が吐き出される。
受験とはかくも大変なものだっただろうか。ぬくぬく靴下にファンヒーター、重ね着した服。そんななかただ黙々と参考書を解いては答えを確認していく。中学のときの高校受験のころを思い出してみたが、たくさんの記憶に埋もれて思い出せなかった。少なくともこんなふうなことはしていなかった気がする。

大きくあくびをすると同時にお腹がぐううと鳴る。なんて自己主張の激しい腹なんだ。まったくもってけしからん。でも、まあ、小腹が空いたのは事実である。正直者な腹なのだ。
うーんと唸って軽く体をひねると、あちこちから悲鳴が上がってちょっと焦った。これはまずい。運動不足にもほどがある。

「……なんか食べたいなあ」

そう呟いてリビングに向かった。暗いなか冷蔵庫を漁る様はなかなか異様である。いろいろ探ってはみたのだが、びっくりするくらい冷蔵庫は空だった。先日買っておいたみかんゼリーも見事に姿を消していた。何故だ。誰が食べた。ちゃんと名前も書いていたのに。

「ちくしょう、何故ゼリーが消えてるんだ」

半ばやけになって冷蔵庫の扉を閉めると、一度自室に戻って適当に着替える。流石に上下ジャージ姿というイモい姿でコンビニに行く勇気はなかった。着替えるとパーカーを掴んで財布と携帯をポケットに突っ込み玄関に向かう。
ちょっとは動いて運動不足を解消しなければ。そんな感じで近くのコンビニに行こうと思い立ったのだが、やっぱめんどくさいなあと靴を履きながら呟いた。

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