「すみませんでした」
万事屋に戻った銀時は、部屋に入るや否や土下座をしてゆきに謝りだした。それを見たゆきは慌てて銀時を庇う。
「そんな、頭を上げて下さい!銀さんは何も悪くありません」
「いやでも……」
銀時がそう言いながら顔を上げると、隣の部屋から新八と神楽が出てきた。
「あ、銀さん。挨拶はどうでした……って何してんの?」
ゆきに土下座をしている銀時を見て、新八は片眉を上げた。
「あー……その、何だ。まあいわゆる」
「失敗したアルカ」
その言葉に銀時は更に暗くなる。新八はそれを見て額に手を当てた。
「だから言ったじゃないスか。嘘はついちゃダメだって」
ハァとため息をつきながら銀時を見ると、銀時は小さな声ですみませんと呟く。すると、横からゆきが慌てて入ってきた。
「あのっ……違うんです!父があんなこと言わなければ……」
その言葉に新八と神楽は互いに顔を見合わせ、同時に首を傾げた。
***
「え、ちょっ……銀さんなんてこと言ったんですか!?」
「バカアル。コイツ本物のバカネ」
ソファに座った二人は、ゆきの説明を聞いてそう言った。
当然といえば当然の反応である。依頼は失敗した上、依頼主の父親にとんでもないことを言ってしまったのだ。
「だいたい、何でそんなこと言ったんですか」
「俺のプライド及びコンプレックスに癪に障るようなことを言ったから」
頭を抱えながらそう言う銀時に、新八は大きなため息をつく。そして、銀時の隣に座っていたゆきに頭を下げた。
「ゆきさんすみません。依頼、成功させるどころかこんなことになってしまって……」
ゆきは首を横に振りながら大丈夫ですと言った。
「しばらくは結婚の話はこないと思いますし、私は構いませんよ」
そう言って微笑むゆきに、神楽はうんうんと頷く。
「出来た娘さんアルナー。どっかの眼鏡とは大違いアル」
「それは僕のことか?僕のことなのか?」
喧嘩をし始めた新八たちを放っておいて、銀時はゆきに声をかける。
「ほんっとすまねえ。これは俺のミスだ。報酬はいらねーから」
「いえ、気にしないで下さい。あれは父のせいですから」
「いやでも、依頼全うするどころかややこしい展開を作っちまったし……」
そんなことを粘り強く言い合っていると、突然ゆきが目を見開いて銀時を見た。
「そうですよ!」
「……え、何が?」
あまりの突然さに、神楽の一方的な殴り合いに発展していた新八たちも動きを止め、何事かとゆきを見る。彼女は明るい声で三人を見た。
「これも、私の依頼に入れてくれませんか?」
その言葉に、銀時たちは頭の上に疑問符を浮かべる。それを見てゆきはもどかしそうに拳を作った。
「ですから、3ヶ月の間は私の結婚相手になって欲しいって言う依頼はどうですかって言ってるんです!ちゃんとお金も払いますし、依頼が全うできれば今回の分のお金もお渡しします」
その言葉に、辺りは静まり返ってしまった。
(銀ちゃん、どういうことアルカ?)
(お前は黙ってろ)
***