江戸の町並みから朝日が昇るころ、万事屋にチャイムの音が鳴り響いた。
既に起きていた銀時は、待ってましたと言わんばかりに勢い良く玄関の戸を開ける。
「よォ、待ってたぜゆきちゃん」
そう言って銀時がニヤリと笑うと、ゆきは控えめに頭を下げた。
「お、おはようございます」
「ま、とりあえず中に入ろうか」
失礼します、と軽く頭を下げてゆきはおずおずと部屋へと入る。
ソファに腰かけると、眠そうに欠伸をする銀時が早速話を切り出した。
「……んで、俺は何をすればいいの?」
ゆきはこくりと頷くと、一枚の紙切れを差し出した。そこには、いくつかの質問とそれに対する答えが書かれていた。
「多分父は、それに書いてあるようなことを質問するはずです」
「ふうん……」
顎に手を添えながら、銀時は小さな声で内容を確認していく。
「大丈夫でしょうか?」
ゆきが心配そうに訊くと、銀時はニッと笑う。
「当たり前だろ。俺は万事屋のオーナー、銀さんだぜ?」
その言葉に、ゆきはホッとしたように微笑んだ。
「……あ、俺って服服どうすんの?紋付き袴とか?」
「そうですね、その服よりはマシだと思いますよ」
「……あ、そう……」
***
それから時間が経ち、銀時とゆきは彼女の家の前に立っている。
「あの、当然ですけど私のことはゆきって呼んで下さいね」
でないと不自然なので。インターホンを押す前にゆきがそう言うと、銀時はそうだなと頷く。
「んじゃ、俺のことは銀さんとでも呼んでくれや」
ゆきは小さく笑うと、はいと頷く。そして、急に真面目になったかと思うと、小刻みに震える手でインターホンを押した。
少しの時間が経ってから、優しそうな顔をした母親が玄関の戸を開けた。
(やべ、なんか本当に緊張してきた……)
***