「ゆ、ゆきむら…?」

先程から俯いたまま、ふるふると体が震えている幸村に声をかける
辛うじて見えている耳は面白い程に真っ赤だ

「顔真っ赤だけど、大丈夫?」

あたしの言葉に、幸村の肩がビクリと揺れる
顔を覗こうとすれば、ガバッと言う効果音がつきそうな勢いで幸村は顔を上げた

「そ、某にはやはりポッキーゲームなどという斯様な遊びは…!!」

「お、落ち着こうか!!ポッキー折れちゃうから!!」

そのまま立ち上がらんばかりの幸村を必死に止める
すると幸村は申し訳なさそうに眉を下げて落ち着きを取り戻した

「これはね、なんか…うん、勢いだよ勢い」

「勢い、で…ござるか」

あたしの言った言葉を真剣な顔で復唱する幸村
そんなに真剣に考える事ではないと思うが、やはりこれが幸村なのだと思ってしまう

「そうそう勢いが大せ…ッ…!?」

物凄い…それはもうお互いの歯が当たるのではないかと思う程の勢いで、唇に温かく柔らかい感触がした
しかしそれは直ぐにまた物凄い勢いで離れ、あたしは驚きにより見開かれた瞳をぱちくりさせながら幸村を見る

「や、あの…そ、某はその…い、勢いが大切と申されたため実践せねばと覚悟を決めた所存で…!!」

最初よりも更に真っ赤な顔で頼りなさげに下げた眉
終いには恥ずかしさからか、瞳にうっすらと涙が浮かんでいる

「…勢い良すぎるよ!!」

ついつい大きな声を出したあたしも、幸村の事を言えない位に顔が真っ赤だったに違いない





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幸村は勢いが大切

破廉恥な事は
全て勢いに任せよう作戦です

じゃないと幸村は
大人の階段
上がれないんです、はい



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