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とある日、暇を持て余した私は、真選組へと向かった。
事前に仕入れた情報によると今日は十四郎が非番のはずだ。
『た〜のも〜。』
「あっ、姉さん。いらっしゃい。何か用ですか??」
『ううん〜暇だから遊びに来た。』
「姉さん…一応俺たち仕事中なんですよ…」
『まぁまぁ、そんな堅い事いうなよ〜。十四郎居る?』
「副長なら自室にいらっしゃるはずです。会いに行かれます?」
『うん。』
「じゃぁ、申し訳ないですがこの入門表にサインお願いします。」
真選組の皆とは色々あって、今はなんだかんだで信用してもらっている。
本来なら身内以外は立ち入り禁止の真選組の屯所も、特別に入ることが許されていた。
入門表にサインをして、十四郎の部屋へと向かう。
まぁ、あの十四郎のことだ、休みの日だろうがとっくに起きて、難しい顔をして机に向かって居るんだろうけど…
『十四郎〜??入っていい〜?』
土方「あっ、美佳氏!!お久しぶりでござる!!」
『ござるってことはトッシーか。』
土方「今日は十四郎と入れ替わってるでござるよ!」
鬼の副長土方十四郎にあるまじき笑顔で迎え入れてくれた彼は私が十四郎と区別をつける為にトッシーと呼ぶ、十四郎のもう一人の人格。
十四郎がある日手に入れた妖刀のせいでこの世に出て来た、いわば十四郎のヘタレの部分の集まりらしい。
十四郎と違いヘタレのトッシーはオタク気質も相まって、なかなかに気持ち悪い感じに仕上がっているがそれでも私を気に入ってくれたらしく、十四郎が非番の日には十四郎の身体を乗っ取って私に会いに来たりするのだ。
『うわっ、また部屋散らかして…』
土方「普段は十四郎のせいでフィギュアも同人誌も全然見ることができないでござる。
それで…」
『まぁ、いいけど、十四郎が戻る前にちゃんと片づけしなきゃだよ。
この間すっごい怒ってたからね。』
土方「あの時は助かったでござるよ〜。十四郎が拙者の大事なフィギアコレクションを全て捨ててしまおうとしていたのを止めてくれて〜。」
呑気なヤツめ…あの時私がどれだけ苦労したかもしらずに…
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