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攘夷戦争真っ只中。
そんな時代に生まれた彼らは、時代に翻弄され、戦乱に身を投じた。
「ほんに、後悔せんがか?」
「美佳、何もお前が犠牲になることはないのではないか?」
『何言ってんの。ご指名いただいたんだから、ご指名♪』
「ご指名って…銀時は納得していないのだろう?銀時、お前からも何か言ってやれ…銀時はどこだ?」
『あ〜アイツは…』
「銀時なら屋根の上で寝てる。」
『あら、晋助くん。来てくれたんだね。』
心配する仲間たちをよそに、当の本人だけは実にあっけらかんとしていた。
『さてと…行きますかね。皆、元気でね。』
「美佳、やはりやめて…」
『はいは〜い、コタは本当心配性なんだから。
そんなんじゃ女にモテないぞ〜。
銀時によろしくね、コタも辰馬も晋助も元気でね。
そんじゃ、ちょっくら行ってくるぜよ〜…っと…』
歩き出そうとしたところを誰かに手を引っ張られ、振り向くと唇に柔らかな感触を感じた。
目を開けると、目の前には高杉の綺麗な顔があった。
「餞別だ。…殴りたかったら、意地でも戻って来い。
俺がこんな世界全てぶっ壊して、お前の居場所作ってやるよ。」
「ぶっ壊すとは物騒じゃの〜。」
「まぁ、高杉の言うことは物騒だが…すべての民が、お前が…安心して暮らせる世の中に俺たちが変えてみせる。
だから…絶対に生き残れ。そして、生きてまた5人で会おう。」
美佳と呼ばれた彼女は、返事をするでもなく彼らに笑って見せると、背中を向け歩き始めた。
『戻って来れるわけないじゃない…てめぇらこそ死ぬんじゃねぇぞ、バカ共。』
彼らには聞こえない声でそう呟き、零れ落ちる涙を拭う事もなく、決心が鈍らないように小走りでその場を去るのだった。
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