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俺の記憶も戻り、改めて万事屋に足を踏み入れる。
銀時「にしてもまぁ、本当ぐっちゃぐちゃだな…」
『何をどうしたらここに突っ込んでくることになるんだろうね…」
銀時「分かるかよ、バカのやることなんか…」
『まぁ…そりゃそうだけど…』
銀時「お前どうやってここで生活してたんだ?」
『あ〜仕事ない時は小太郎のところに行ってたよ。』
銀時「…ヅラと寝たのか?」
『小太郎の腕枕でね。』
コイツがそういう奴なのは十分分かっているが、やっぱりそれを聞くのは気に食わねぇ。
『小太郎のイビキがうるさくて、全然寝れなかったけど…』
銀時「は?」
『だってぬーぬー言うんだよ!?おかしくない?しかも目開きっぱなしで寝るし…』
銀時「それは気持ち悪ぃなぁ…」
『…ヤキモチ妬いた?』
銀時「妬くか。」
『妬けよ〜〜〜!!』
妬かねぇわけはねぇ。
ガキの頃からずっとだ。
松陽先生に拾われて以来、兄妹のように育てられた俺たち。
別に男だとか女だとかそんな意識はなかった。
でも、美佳が寺子屋に通い始めて、高杉やヅラと仲良くなって…
次第に高杉の野郎が美佳の事を俺たちとは違う目で見ているのに気が付いた。
最初はあんな男か女かもわからないような、ツルツルペッタンな身体した女の何がいいのかまったく分からなかった。
でも、歳を増していくごとにアイツは体つきだけでなく中身も女になり、寄って来る男の数も増えた。
ヅラや高杉にならともかく他の男に笑いかけている姿を見るのは許せなかった。
コイツはそんな俺のモヤモヤした気持ちを知ってか知らずか、いつも俺にくっついて回っていた。
そんで今もそうだ。
俺に好きだのなんだの言う訳でもなく、ヅラに連れて来られたからとか言ってここに居座っている。
夜は素直なのになぁ…あれ、でもあれだな…俺、コイツに好きだとかなんとか言われた記憶ねぇな…
あれ、コイツも俺に気があるとか思ってたのは俺の勘違い?
あれ、それって俺すっごい寂しい奴じゃねぇ?
銀時「なぁ美佳、銀時好きっって言ってみ?」
『はぁ?何で?』
銀時「何そのマジトーンの否定…銀さん傷つくんですけど!!」
『何、まだ記憶がぶっとんでんの?』
銀時「可愛くねーやつ。」
『さて、片づけは明日にして神楽ちゃんたちのところに行きますか。』
銀時「へいへいっと…」
まぁ、コイツにそんな可愛らしいことを求めたとこで無駄なことなんざ、分かりきってたけどよ。
『銀時…』
銀時「ん…?」
お?なんだ、なんだ!?珍しく俺の着物の裾掴んで上目使いとか…なんだよ、発情期ですかコノヤローってか…
ったく、それならそうと早く言えっつんだよ…
『次、私の事忘れたりしたら、ただじゃ済まないんだから…』
ぐはっっ…来た、デレ美佳!!!
俺にはめったにしないデレだよ。
ったくよ…これだから、諦めきれねぇんだよ。
銀時「このクソビッチが…んな可愛いこと言って、銀さんをどうするつもりですか〜!」
『フフ…どうしようかな〜。』
美佳を抱きしめると、アイツも自然に俺の背中に手を回す。
2人でこうして抱き合っていると、ものすごく安心した気持ちになる。
銀時「もう2度と忘れねぇよ。もしまた事故にあって忘れたとしても、絶対また思い出すから…だから、もしそうなっても何にも心配することねぇよ。
お前は黙って俺の帰りを待ってればいい。」
俺の帰る場所が美佳の隣であるように、美佳の帰る場所も俺の隣であって欲しい。
そんな願いを込めながら、美佳にそっと口づけた。
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