─────---- - - - - - -
例の件以来、私はより一層自分のこの忌々しい体質と向き合わざるを得なくなっていた。
落ち込まないと言えば嘘になる。
でも、こんな私でも彼らは受け入れてくれた。
そんな彼らに感謝しつつ、普通の1日が過ごせることに喜びを噛みしめる。
そう簡単には消える事のない悩みを抱えつつも、気分転換にと小太郎のところへ遊びに行くことにした。
『お待たせ。…てか何それ。』
桂「うん?お前は会った事なかったか?エリザベスだ。」
かわいいだろう?と自慢げな小太郎の隣にはなんだか訳のわからない生物のようなものが…
ソイツは言葉の代わりにプラカードで私に挨拶をしてくる。
字が書けるペットってなんなの…
小太郎を真ん中に挟み、不思議な生物と街を歩く。
目立ってしょうがないのに、当の小太郎は大して気にもしていない。
しばらく歩くと、昼間というのに腰に刀を差しフラフラしている浪士たちがたくさん居る場所を通りかかった。
どうも小太郎たちはここらへんで潜伏生活を送っているらしい。
こんな場所に女と変な生き物を連れて歩く小太郎はやっぱり目を付けられ、何度か斬りかかられそうになったが、狂乱の貴公子の名はまだ健在のようであっという間に片づけてしまった。
桂「さぁ、入るがいい。」
『お邪魔しま〜す。』
「「「「桂さん!エリザベスさん!ご苦労様です!!」」」」」
小太郎が大部屋の襖を開くと、待ちわびていたように男たちが大きな声で話しかける。
ワラワラと小太郎の周りに集まる浪士たちの熱気に押され、私は小太郎の背中に身を隠した。
桂「おい、お前たち。客人が見えぬのか?」
「客人?」
「あっ…す、すいません!!気が付かずに…」
「えっ、この方は…どなたですか?桂さんが女性を連れてくるなんて…」
桂「コイツは…」
『初めまして、小太郎の彼女で〜す♪』
「えっ?」
「えっ?」
「えっ?」
桂「おい!変な事を言うな!…というかお前たち、えっ?とはなんだ!!!」
「いや、だって桂さんって…」
「なぁ?」
「あぁ…」
ん?なんだか皆困惑している。
もしかして、小太郎にはもう婚約者なりが居たのかしら。
だとしたら、マズいこと言っちゃったな…
← →
1/12
←contents
←main
←top