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しばらくすると様子を見にあやめが戻って来た。
猿飛「銀さん。」
銀時「おぉ、すまなかったな。妙な頼み事なんかしちまって。」
猿飛「それは全然…それより美佳さんは?」
銀時「今はヅラが面倒見てるから、心配要らねぇよ。」
猿飛「そう…」
銀時「気になるか?美佳の事…」
猿飛「気にならないと言ったら嘘になるわ。
でも…それは銀さんの口から聞くことではないんでしょう?」
銀時「あぁ…そうだな。アイツが自分の口で話すまで待ってやってくれや。
でも、もしまたアイツがあんな風になったら手貸してやってくれ。」
あの銀時が自分に頼みごとをするなんて、よほど重大なことなのか、もしくはそれほどに美佳の事を大切に思っているのか…
いや、多分その両方だ。
複雑な気持ちをどうにかしまいこんで、あやめは美佳の居る和室の前に立った。
猿飛「美佳さん。」
呼びかけに返事はなく、代わりに桂がそっと襖を開けた。
桂「猿飛殿、すまんが少しばかりコイツの事を見ておいてくれぬか。」
桂は何かを察したかのように、あやめに美佳を任せ部屋を出て行った。
猿飛「まったく…私が銀さんの事が好きなの知っておいて、その私に銀さんとの情事の痕を見せつけるなんて一体どんな神経してんのよ。
ほら、身体起こして。もうすぐしたら神楽ちゃんたちも帰ってくるわ。
せめて着物くらいちゃんと着なさい。
そんな恰好見せたんじゃ、あのメガネが発情しちゃうでしょ。」
『ごめんね、さっちゃん。』
猿飛「別にあなたの為にやってるんじゃないわよ。
銀さんのあんな顔見たんじゃこうするしかないじゃない。
でもいい?言っとくけど、銀さんは私のなんだからね?
なんか事情があるみたいだから、貸してあげるけど、さっさとあの長髪とくっつくなり、ダメガネとくっつくなりしなさいよ。
いつまでも銀さんを借りれると思ってんじゃないわよ!」
文句を言いながらも、あやめはまだ身体に力の入らない美佳の身体を支え着物を着付け、髪を梳かしてあげた。
猿飛「綺麗な髪の毛…」
『昔、父親代わりの人に言われたの。髪は女の武器だから大事にしなさいって。』
猿飛「そう…」
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