─────---- - - - - - -
猿飛「銀さん、私…」
銀時「心配することねぇよ。じきに収まる。
ただちょっと頼み事してぇんだが、ガキども連れてしばらく外行っててくんねぇか。
さすがにこんな姿ガキ共に見られたとあっちゃ、コイツも気にするだろうから。」
猿飛「え、えぇ…分かったわ。」
銀時「あともしヅラ見かけたら、なんか甘いもん持って来いって言ってくれ。」
神楽「銀ちゃん、それなら私買ってくるアル!!」
銀時「いや、ヅラじゃねぇと意味ねぇんだ…
まぁ、居なかったら居なかったで構わないから。」
新八、神楽、あやめは心配そうに2人を見つめながらも言われた通り、家から出て行った。
銀時「美佳、大丈夫か。」
『銀時っ…身体が熱いの…』
銀時「お前、昔よりひどくなってんじゃねぇか…」
銀時はそのうち美佳が望むまま、身体を彼女に預けた。
桂「銀時、居るか。」
しばらくすると桂がやって来て、襖の前から銀時に呼びかけた。
銀時「こっちだ。」
桂「…やはり治ってなかったのか。」
銀時「むしろ悪化してる。前は甘いもの欲しがってから数日は我慢出来てたのに、今日は言いだしてからすぐだったんだ。
でも、考えてみればコイツ帰って来てから仕事ばっかしてたんだよ。
もしかしたら、自分でどうにかしようとしてたのかもな...」
桂「自分を責めるな、銀時。
美佳も昔言っていただろう。
これとは一生付き合っていかなければならないと…
しかし、悪化しているとするとアイツらまだ美佳の身体を使って…」
桂の言葉に銀時は悲しそうな顔を見せ、ため息をつくと服を着た。
桂「どこに行くんだ、銀時。」
銀時「ケーキ…作りかけなんだよ、まだ。
ヅラ、ちょっとコイツの面倒見といてくれよ。」
そして、銀時はそのまま部屋を後にした。
銀時が出て行ったあと、ゆっくりと目を開けた美佳に桂は気が付き声を掛けた。
桂「美佳、食べられるか?」
『…小太郎?』
桂「銀時に頼まれてな。近頃人気の甘味処で買って来たのだ。
食べるだろう?」
『…あ〜ん。』
桂「自分で食え!」
『無理〜!!』
いつものように甘えた声を出す美佳に桂は着物を羽織らせ、彼女の頭を撫でた。
桂「…落ち着いたみたいだな。」
『…私、また…』
桂「心配することはない。俺が来た時には、銀時が面倒見ていたから。」
『…ごめんなさい。』
美佳は困ったように俯いた。
桂「お前が望んでそんな身体になったわけではなかろう。
しかし、これだけは覚えておけ。
俺も銀時も…そしておそらく高杉も…子供の頃に誓った約束は忘れておらぬ。
お前がその身を呈して俺たちを護ってくれた代わりに、
今度は俺たちがお前を護る。何があってもだ。
だから、お前は何も心配せずともよい。
そんな不安そうな顔をするな。
お前の兄貴たちはバカかもしれんが、大切な妹を護る為なら鬼にでもなるのだから。」
銀時は部屋から聞こえてくる美佳の泣き声を聞きながら、黙々とケーキを作るのだった。
← →
7/10
←contents
←main
←top