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銀時「お〜い、着いたぞ〜。」
なんとか片手で玄関の鍵を開け家に入り、美佳をソファの上に放り投げると声をかける。
そして自分も窮屈な着物を脱ごうと帯に手をかける。
女性ものの着物というのはなんでこう暑いし苦しいのだろうか。
こんなに帯でグルグルと巻く必要がどこにあるのか。
そんな事を考えながら、後ろに手を回すと、何か別の感触を感じた。
『パー子ちゃん、脱ぐの手伝ってあげる〜。』
酔っぱらって微妙に喋り方のおかしい美佳はさっきの衝動で目を覚ましたのか、銀時の後ろに立ち帯をほどいていた。
帯をほどき終わると、銀時の前に立ち彼を後ろに押す。
銀時「うわっ…っと、あぶねぇ。」
『んふふ〜パー子ちゃん、可愛い〜
』
そう言って、銀時の脚の上に乗りあげると、まだ口紅の付いた銀時の唇に口づける。
何度も何度も銀時に喋る隙を与えないように深く口づける。
『あっ、パー子ちゃんの口紅付いちゃった。』
手の甲で口を拭いながら妖艶な色っぽい笑みを浮かべる。
銀時「なんだ、発情期ですか、コノヤロー。」
銀時の言葉にフフフと笑うと、彼の胸元に手を入れる。
『銀時…』
もの欲しそうな瞳で銀時を見つめれば、途端に彼の中の何かもフツフツと燃え上がる。
美佳を自分の上に跨らせて、後ろに手を回す。
そして美佳はそれに答えるように、銀時の顔に手を添え、顔を近づけた。
『フフフ…ぶっさいくぅ〜。』
銀時の頬っぺたを両方つまんで、唇を突き出すようにさせると美佳はイタズラっこの様に笑う。
銀時「昔のお前は可愛かったのにな〜。
妹みたいで。何がどうしてこうなったのかねぇ。」
先ほどちょうど思い出していた幼い頃の美佳の姿と、半裸の男を目の前にしても動じない今の姿を比べてみる。
どう考えても、あんな純真無垢だった女の子がこうなるなんてあり得なかった。
『それは〜銀ちゃんのせいですぅ。
銀ちゃんが若さを理由にところかまわず…うわっ!』
銀時は頬を膨らませながら抗議する美佳をソファに押し倒した。
銀時「んでも、嫌がらなかったのは誰でしたっけ?」
そう言って、美佳の首筋をツツツ…と舐め上げる。
『んっっ…』
銀時「首が弱いのは相変わらずだなぁ...」
首から鎖骨、胸と口を下ろして行けば、美佳はもう先ほどのようにふざけて話すのをやめてしまった。
銀時「…ん?」
銀時が美佳の下着を取り上げると、胸の谷間に挟まっていた何かが落ちた。
銀時「…紙と…酢昆布?」
『…あっ、晋助と神楽ちゃん。』
銀時「あの野郎、ご丁寧に連絡先残して行ったのか。」
『だって連絡先分からないと、晋助に会いに行けないじゃん。』
銀時「なんだよ、会う気満々なのかよ。」
『当たり前でしょ。あっ、何、ヤキモチ?』
銀時「ちげぇ。」
『大丈夫だよ、晋助やコタに会いに行くときは土方さんたちに気が付かれないようにするから。』
高杉や桂が攘夷志士としていまだ活動を続け、土方たち真選組から狙われていることは昼間に銀時から聞いていた。
それでも美佳には会いにいかないという選択肢はない。
どんなに世の中の人間が悪者だと言おうが、美佳にとっては大事な家族であり仲間なのだ。
『銀時、酢昆布くさいからお風呂入ってくる。』
なんとなく興ざめしてしまったその場の空気を変えるように美佳は立ち上がって、風呂場へと行ってしまった。
銀時は美佳の風呂の音を聞きながら、ボーっとテレビを眺める。
銀時「どうしたもんかねぇ…」
これからの美佳の事を考えると心配にならざるを得なかった。
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