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沖田「そいじゃぁ旦那ァ、俺たちはお妙さんたち送って行くんで姉さんと楽しんで。」
近藤「あ〜支払怖いよ〜。」
土方「美佳の飲み方のえげつなさったらありゃしねぇ…」
真選組の3人はそんな事を言いながら、酔っぱらったお妙と眠ってしまった新八、神楽を背負っていた。
お店の入り口で別れを告げ、銀時は女装姿のまま美佳を担ぐ。
桂「大丈夫か、銀時。」
銀時「あぁ。」
桂「こんなに酔うほど飲むとは…やはり高杉と何かあったのだろうか。」
銀時「ちげぇよ、よっぽど嬉しかったんだろうよ。高杉に会えたのが。
あれからずーっと我慢してたんだコイツは。
たった一人で…」
高杉と会って喜んでいる…そういう割には銀時の顔には嫉妬とかそういったものはなかった。
銀時と高杉と美佳にしか分からない絆みたいなものがそこには存在する。
それは例え何年離れて居ても変わらず確かに存在していた。
桂「なかなか妬けるな、お前たちのその関係は。」
銀時「てめぇは入れてやんねぇ。」
桂「何を!!いつもいつもお前たちの面倒を見て居たのは誰だと思っている!!」
銀時「心配しなくても、コイツにとっちゃぁお前も大事な仲間で大事な家族だよ。
そんなことお前も分かりきってるじゃねぇか。
何でコイツが今ここに居るか、どうやってここに居るか…お前にも想像できねぇわけじゃねぇだろ。
それでもコイツは戻って来た。それでいいじゃねぇか。」
あの時、全員が止めるのも聞かず1人仲間の元を去った美佳。
それは全て仲間であり、彼女にとっては家族同然の自分たちを守るためだった。
もう一生会う事はないと、互いに覚悟を決めたあの日。
『てめぇらこそ、死ぬんじゃねぇぞ、バカ共。』
彼女が別れ際に誰にも聞こえないように小さな声で呟いたその言葉は、彼らに届き、彼らの中で誓いのように常に存在していた。
どうして彼女が戻って来れたのか、それは本人に聞かなければ分からない。
ただそれが容易な事ではないことを桂も銀時も分かっていた。
其々に彼女の身を案じ、これから起こるであろう事態にため息をつく。
それでも彼女を拒絶することが出来ないのは、彼女が長い間身を挺して自分たちを守ってくれていたからだった。
桂「銀時、俺はこの辺で。
ちゃんと寝かせてやるんだぞ。」
銀時「さぁな〜。」
これは寝かせるつもりがないな…と桂はまたもため息をつく。
それでも美佳をおぶってゆっくりと歩く銀時が子供の頃と重なって、どこか懐かしい気持ちになるのだった。
≪終≫
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