─────---- - - - - - -
高杉が甲板にでるともう朝になりかけていた。
無理にでも美佳を銀時の元へと帰しておけばよかったと、後悔してもしきれない。
この数日、美佳と過ごした時間を思い出しながら高杉は船の外を眺めた。
河上「晋助。終わったでござるよ。」
しばらくすると、処置が終わったと河上が知らせに来た。
「今出来得ることは全ていたしました。
銃創は腹の奥まで達しており、危険な状態には変わりありません。
後はご本人の体力次第かと…」
医師はそう告げると部屋を出て行った。
河上「また子、悪いが美佳の看病を頼めるか。
男よりも女の主の方がいいであろう。」
また子「任せるっす!!」
そうして昼はまた子、夜は高杉が美佳に付きっきりで看病をした。
美佳の隣で居眠りをする高杉の髪の毛に何かが触れた。
『昔と逆だね、晋ちゃん。』
目を見開く高杉に美佳は笑いかける。
辛そうな顔をするものの、確かに美佳は目を開け高杉を見ていた。
『ずっと見ててくれたの?』
高杉は何も言わず、安心したような顔で美佳の頭を撫でた。
『晋ちゃん。この間、私達を襲って来たやつら…多分真選組だよ。』
高杉「なんで分かる。」
『あの中に一人だけ真選組の屯所で見たことがある人間がいた。』
真選組…高杉が真選組の伊藤と会食したのがつい数日前。
あまりにもできすぎた話しだった。
高杉「お前は余計な心配をする必要はねぇ。怪我が治ったら、銀時の所に帰れ。」
『え〜怪我人に酷い。』
高杉「俺の側に居れば、またいつこんなことになるか分からないだろう。」
『大丈夫だよ、晋助。バカ兄貴たちに似て、不死身なんだから。』
突き放すようなことを言いながら、自分のことを心配してくれる高杉に昔の姿を重ねる。
いつも必要以上に心配するのが高杉だった。
だからこそ美佳は高杉を放っておけなかった。
いつも高杉が自分にそうしてくれていたように、美佳は少しでも高杉の気持ちが楽になればと高杉の所に来たのだった。
← →
7/9
←contents
←main
←top