─────---- - - - - - -
「甘かったな高杉。」
そこには拳銃を構えた男が佇んでいた。
河上「晋助!!」
また子「晋助様!!」
『甘いのはてめぇだよ。誰かを殺りたいなら、黙って殺りな。』
美佳は高杉の腕を引き、高杉の前に立つと自らの身体を盾に高杉を庇った。
河上「美佳!!」
また子「貴様!!」
また子と河上は男に襲いかかり、男はあっけなく倒れてしまった。
河上「…おい、美佳!!」
また子「目を覚ますっす!!まだ…アンタに文句言いたいこといっぱい…」
高杉は何も言わず、美佳を抱き上げると船へと急いだ。
武市「晋助殿…!!一体今まで…それは朝日奈さん!?一体何が!!!」
河上「医師を!!」
胸から血を流し、青い顔をして高杉に抱えられる美佳に鬼兵隊の隊員たちも狼狽えた。
高杉「鬼兵隊ともあろうものが女ひとりに狼狽えるんじゃねぇ!
それに……こいつは俺が死なせねぇ!!」
また子「晋助様…」
普段多くを語らない高杉の鬼気迫る怒鳴り声に鬼兵隊の兵士たちも黙り込む。
すぐさま船医が呼ばれ、美佳の傷の処置が行われた。
処置は5時間にも及んだ。
また子「…なんであの女、晋助様を庇ったりしたんすか。」
武市「敵とは言え、朝日奈さんと高杉殿は兄妹のような間柄。
庇うのは当然かと。」
高杉「…アイツは何も考えちゃ居ねぇよ。俺が危険だと思ったから俺を庇っただけだ。
敵だの味方だの…アイツはそんな細かいことは何も気にしちゃいねぇ。
そこに助けを必要としている人間が居れば、自分の身なんて気にしねぇやつだ。
昔っから…コイツはそういう奴だ。
自分のことより俺たちの心配をするような…」
河上「晋助…お主がそこまで言うほどの女子だ。きっと大丈夫でござるよ。」
河上の言葉に喋りすぎたとばかりに高杉は顔を背け、そのままその場を離れてしまった。
← →
6/9
←contents
←main
←top