─────---- - - - - - -
高杉はそれから2日ほど経ってから帰って来た。
また子「晋助様!!おかえりなさい!!」
また子は目を潤ませながら高杉の元へ走って行った。
しかし、その瞬間に美佳は高杉の手を引っ張って部屋の方へと歩いて行ってしまった。
『晋助、着物脱いで。』
高杉は美佳の声に耳を傾けるでもなく、窓際で煙管を吹かした。
『晋助!!』
高杉「大したことねぇ。」
『大したことあるとかないとかそういう問題じゃない!!
怪我してるでしょ!!』
無理矢理に高杉の着物をはだけさせると、わき腹に血の滲んだ包帯が見えた。
『大将がこんな怪我しててどうすんの!!』
高杉「お前が他のやつらに言わなければ済む話だ。」
自分が何を言ってもこういう時の高杉が耳を貸さないのは知っている。
ため息をつきながらも、美佳は傷の手当てを施した。
攘夷戦争の時、何度も何度もやってきたこと。
何をどうすればいいのかは身体が覚えていた。
『誰にやられたの?』
高杉「さぁ。」
そう言ってはぐらかした高杉だったが、思い当たる節ならいくらでもある。
反政府集団の攘夷浪士の中にあってもっとも過激とされる鬼兵隊。
その大将である高杉は幕府からも、同じ攘夷浪士からも狙われる身であった。
高杉を仕留め、名を上げたいという連中は高杉がひとりの所を狙ってくるのも、これが初めてではない。
いつもならば、気が付くのはせいぜい河上くらいのものだが、美佳の目は誤魔化せなかった。
『晋ちゃんさぁ、いい歳なんだからもっと落ち着きなよ。』
高杉「落ち着いた年寄りのような生活が楽しいか?」
『も〜あぁ言えばこう言うんだから…』
心配そうに説教をするものの、高杉の怪我がそれほど深くないのを見て美佳は安心したような表情を見せた。
← →
4/9
←contents
←main
←top