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美佳が鬼兵隊にやってきて1週間ほどした頃、高杉を訪ねてひとりの男がやってきていた。
河上「伊藤鴨太郎…真選組の人間ではござらんか…一体そのような人間が主に何の用が?」
高杉「さぁなぁ…」
河上「会うのか?」
高杉「わざわざ危険を冒してまで鬼兵隊に来てくださってんだろ?
会わねぇわけにはいくめぇよ。」
河上「晋助…あの女子には…」
高杉「美佳は真選組の連中とも付き合いがある。アイツには伝えるな。」
河上「分かったでござるよ。」
その夜、美佳は見当たらない高杉を探していた。
『あ、河上さん。晋助は?』
河上「晋助なら、どこぞのお偉方と廓に出かけてるでござるよ。」
『廓?晋助が??』
河上「男はそういう席でこそざっくばらんに話が出来るものでござるよ。」
『ふ〜ん…まぁ、そういうもんか…でも、酷いと思いません?
私が居るっていうのに。』
河上「娼婦だったな。」
『一応ね〜。でも、なんでもやりますよ。キャバ嬢でもソープ嬢でも。』
河上「なぜ、攘夷戦争に参加し名を挙げたお主がそのような…」
『あ〜お嫁に行ったから?』
嫁に行ったのなら、彼女がなぜこのような事をしているのか、余計に不思議に思った河上河だったが、それ以上聞いて欲しくない風な美佳に口を瞑んだ。
河上「お主…」
『お主じゃなくて、名前で呼んでくださいよ。』
河上「…じゃぁ、そちらも敬語はやめていただこう。」
『フフ、いいのかな〜敵をそんなに信用しちゃって。』
河上「敵と言えども女。負ける気はしないでござるよ。」
『あ〜言ったな〜?そんな余裕ぶっこいてると後で痛い目見るんだから。』
そうやって笑う美佳の顔に河上は高杉がなぜ美佳に心を許すのか、理解した気がした。
河上「それに…あんな穏やかな顔の晋助は初めてみたでござる。」
『そう…』
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