─────---- - - - - - -
しばらくすると控えめに部屋の戸を叩く音がした。
また子「あの、晋助様…呉服問屋が来ているのですが…」
高杉「あぁ、すぐに行く。」
『問屋さん?』
高杉「あぁ、お前の着物。今江戸に戻ってもろく買い物もできめぇ。」
『…さすが金持ちはやることが違うね。』
高杉が美佳を連れて、呉服問屋のところへ向かうとまた子がその場に待っていた。
高杉「好きなの選べ。」
『いくつまで?』
高杉「好きなだけ。」
『…晋ちゃん…大好き!!』
ゲンキンなやつだと高杉は煙管を吹かす。
また子「晋助様!!なんでこんなやつに!!」
高杉「また子、見てやれ。」
また子の問に答えるでもなく、高杉はそのまま部屋を出て行った。
『あ〜えっと、勝手に自分でやるんで、いいですよ。』
また子「…晋助様の仰ることは絶対なんす。晋助様がアンタの面倒を見ろと言えば、私は…」
『…そう。じゃぁよろしくお願いします。』
また子は黙々と着物を見ては、戻すを繰り返す。
美佳はその様子を横目に見ながら、高杉が好きそうな大人しめの柄の着物を手に取った。
また子「…それ。」
『え、あぁ…いい柄だよね。私には少し大人しすぎるだろうけど…』
また子「晋助様が好みそうな…」
『あ、やっぱりそう?なんとなくそうかなぁって…本人あんな派手な着物着てるくせにね。』
また子は顔を背けると、別の着物を探し始めた。
そうして何着か着物を決めると、問屋は帰って行った。
また子「…あんた何者っすか。」
『晋助の幼馴染。』
また子「でも、晋助様は…」
『晋助は…過保護なんだよ。』
また子「…アンタいつまで居るつもりっすか。」
『ん〜晋助が納得するまで?』
ヘラヘラと返事をする美佳にまた子は思わず声を荒げる。
← →
7/10
←contents
←main
←top