─────---- - - - - - -
高杉「お前に何が分かる?」
『何にも分からないね。途中で勝手に抜け出して、あんたたちが辛い時に側に居なかったんだから。
でも、だからこそ皆の側に居たいだけ。
もしかしたら私にも何かできることがあるかもしれないから。
私はあんたたちの言葉で生き残った。
だから今度は私の番でしょ。』
高杉は美佳の言葉に激昂したように美佳を布団の上に押し倒す。
高杉「じゃぁ、お前は俺が側に居ろって言ったら、側に居るのか?」
『居るよ。』
美佳の言葉に高杉は鼻で笑い顔を背ける。
『正論ばっかり並べてるのかもしれないけど、晋助が私を必要とするなら私は晋助の側に居る。』
高杉「お前は…!!」
いくら自分が望んだところで、美佳は自分のものにはならない。
子どもの頃から、何度も高杉が感じたことだった。
いつもいつも自分の大切なものは銀時に奪われて来た。
それでもいいと子供のころは思っていた。
今は…今はそうはいかない。
お行儀よくすべてを受け入れる気にはなれない。
幕府は松陽を奪った。
幕府は美佳の人生を奪った。
そして、それを何とも思わない銀時。
理解が出来なかった。
高杉「…なぜお前が泣く。」
『晋助は泣かないから、代わりに泣いてあげてるの。』
高杉「なんだそれ。」
ズルイ女だ。
その気はないくせに、簡単にそんな事を言ってのける。
心の中では銀時しか見えていないくせに…
高杉「もういい。」
『晋助…?』
高杉「もういいから…」
涙を流す美佳を見るのは慣れている。
それでも美佳に泣かれるのは好きじゃない。
高杉は美佳の涙を拭い、布団に横になると背中をさすって彼女を眺めた。
← →
6/10
←contents
←main
←top