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美佳を連れ自室に入った途端、窓際に座り煙管を吹かし始める高杉に美佳は苦笑いする。
『晋ちゃん。』
高杉「晋ちゃんって歳かよ。」
『なんか機嫌悪そうだからじゃん。』
高杉「…美佳、飯作れ。久しぶりにお前の作った飯が食いてぇ。」
高杉の言葉に美佳は嬉しそうに笑うと、久しぶりに高杉に手料理を振る舞った。
高杉が好む和食ばかり…旨いともマズイともいうでもなく、高杉は黙々とすべてを平らげた。
高杉「何しに来た。」
食事を食べ終わった後、高杉は美佳の方に顔を向けると、彼女の顔をじっと見つめた。
『晋助に会いに。』
高杉「説教しにか?」
『違うよ。晋ちゃんの傷を治しに。』
高杉「傷なんかねぇよ。」
『あれ、晋助が傷ついて泣いてるかな〜と思って来たのに。』
高杉がいくら隠そうとしても美佳には分かってしまう。
高杉がどうしようもない怒りと悲しみの中で10年以上も苦しんでいることを。
松陽を失った苦しみ、松陽に手を掛けた銀時への怒り、銀時がそうせざるを得なくなった原因を作った自分への呆れ。
そして、美佳を助け出せなかった失望感。
高杉は戦争が終わっても尚、その感情に苛まれ苦しんでいた。
美佳にとっても苦しい気持ちは変わらない。
自分があの時幕府の役人のいう事を聞かなければ、事態は変わっていたかもしれない。
少なくとも、銀時や高杉の側に寄り添う事は出来たはずだ。
悔やんでも悔やみきれない事は沢山ある。
それでも美佳は高杉たちに生きろと言ってもらえたから、生きて来れた。
だから、あの時側に居ることが出来なかった分、今自分が出来る事は精いっぱいしたい。
高杉の気持ちを少しでも和らげることが出来るのなら…
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