─────---- - - - - - -
しばらく話をしているうちに美佳は本当にウトウトし始めて、沖田に寄りかかって眠ってしまった。
沖田「敵をいつでも捕らえられるようにしとくんじゃなかったんですかぃ。」
すっかり気を許して眠っている美佳に沖田の顔も緩む。
なんとなく入りこめない美佳と銀時の絆の中に少しだけ入りこめた気がした。
土方が言うように、美佳にとっての「大切な人」の一員に数えてもらっているのだろうかと思うと、素直に嬉しく感じる。
沖田も今だけと自分に寄りかかる美佳の頭に寄りかかった。
きっと美佳が自分のものになることはない。
それ以前に自分が彼女に感じるものが恋愛感情かそれとも単なる憧れの類なのかは分からない。
でも、たまには銀時から奪ってひとり占めしたい気持ちがある。
彼女の瞳に自分だけが写ればいいのにと思う時がある。
銀時「おいおい、国家公務員様が勤務中に女とイチャついてるとはどういう了見だい。」
沖田「旦那ァ、迎えに来るのが早すぎまさぁ。」
銀時「何言ってんだ、俺のジュニアに辛い思いさせて、うちのお色気担当をひとり占めなんて虫が良すぎるんじゃねぇのかぃ?」
沖田「やだなぁ、旦那ァ。旦那のジュニアの事は不可抗力でしょ?
俺は素直に旦那にも姉さんにもイイ思いしてもらおうと親切心でしたことですぜ?
それにこれだって、姉さんが勝手に寝ちゃっただけでさぁ。」
銀時「はぁ…仮にも警官がよくもまぁそんなにスラスラと嘘が口から出て来るもんだ。」
沖田「旦那ほどじゃぁありやせんぜ?」
銀時「いやいや、沖田くんには負けるよ?…ほら、美佳起きろ。帰るぞ。」
沖田「旦那は猫探しでもしてくりゃいいでしょ。
姉さんアンタの手伝いでろくに寝てないんでしょ。」
銀時「俺を誰だと思ってんだ。万事屋オーナーだぞ。」
沖田「あ、猫…」
銀時が懐から猫を出すと沖田も驚いたような顔を見せる。
銀時「沖田くんさぁ、もうちょっと自信持っていいんじゃねぇの?
こいつはお人よしだが、信じる人間と信じない人間の区別くれぇちゃんと付けてるよ。
そんなコイツが人がウロチョロしてる真昼間にこんなところで昼寝なんて、
側に安心できる人間が居る時にしかできねぇよ。」
沖田「…姉さん、姉さん。旦那が迎えに来やしたぜ。」
『…銀時?あっ…』
銀時「ほら、猫。」
『あぁっっ!!銀時が見つけたの?も〜探したんだから〜!』
猫を抱き上げ笑う美佳に銀時も笑う。
そんな2人の姿を微笑ましく思うものの、やはりどことなく寂しい気持ちがする沖田だった。
← →
11/12
←contents
←main
←top