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沖田くんとやらはどうやら有言実行タイプらしく、その日、美佳は帰って来なかった。
仕事ではなく、沖田くんと一緒なのだろう。
まぁ…いいけどさ。
別に、銀さん何にも言えないけどさ!
お前、銀さん好きじゃん!!なんで他の男とお泊りしちゃうかな!!
なんでお前の股はそんなに緩いのかなぁ!!
銀時「はぁ…腐ってる。」
新八「本当世の中腐ってますよ。同棲だ出来ちゃった結婚だの…」
銀時「いや、誰だよ、これ出したやつ!!」
腐った納豆を出され、美佳は帰って来ないし、腹立たしいから飯もそのままに家を出た。
まったくどいつもこいつも人のいう事を全く聞きやしねぇ。
「ばぶ〜。」
銀時「…ない。これはない。」
万事屋の階段を下りるとそこには大きな籠に入れられた、どことなく俺に似た赤ん坊が居た。
しかもご丁寧に「あなたの子供です。」とか書いた手紙まで入ってやがる。
いや、俺に限ってそんなはずはない。ない。いや、ない。
「ばぶ、あぶ〜!」
銀時「…いやいやいやいや、あれはなんだかんだであぁしてこうなったから、これはない!」
あぶねぇ、あぶねぇ。
お前、実は隠し子が居ました〜とか美佳にバレてみろ。
益々帰って来なくなんじゃねぇか。
「ぶ〜。」
銀時「だから〜!!」
登勢「朝からがたがたうるせぇぇ!!」
くそっ…なんでこんなことになってんだ!!
登勢「腐ってる。」
新八「腐ってますね。」
登勢「ちゃらんぽらんなやつだとは思っていたけれど、そこらへんに種まき散らかして、ほったらかしにするような奴だとは思わなかったよ。」
銀時「だから、ちげぇっつってんだろ!」
とんでもない勘違いをしている奴らはどうでもいいけど、こんなところに美佳が帰って…来るなよ…いや、これは煽ってるわけではなく。
今日ばかりは特別に沖田くんと昼までイチャコラを認めてやろうではないか。
だから帰って来るなよ!300円あげるから!!
神楽「銀ちゃ〜ん、赤ちゃん泣いてるアル。」
新八「これお腹空いてるんじゃないですか?」
神楽「私、出してみるアル!今なら出る気がするネ!!」
泣いてる赤ん坊に乳をあげれるような人間はこの場には居ない。
この場に居るのは、そもそも胸のないガキとババァが2人。
登勢「新八!薬局行って哺乳瓶とミルク買って来な!!」
新八「は、はいっっ!!」
新八は慌てて外へ飛び出して行った。
でもやっぱり新八は新八だった。
新一ではなく新八だった。
『えっ、赤ちゃん?』
店先から聞き覚えのある声が聞こえる。
新八…お前はそんなんだから新八なんだよ。
新八「そうなんですよ!で、今お腹空かせて泣いてて…あ、じゃぁ僕ミルクとか買ってくるんで!!」
『お登勢さ〜ん、赤ちゃんが居るって今新八くんが…銀時、何後ろに隠した?
泣き声で丸わかりなんだけど?』
銀時「あっ、お乳が出そうなおっぱいあった。」
『出るか、ボケ。腐れ銀時。』
美佳の声の調子が下がる。
ヤバい…
神楽「美佳姉見て!銀ちゃんにそっくりアル!銀ちゃんの息子アル!!」
かぐらちゅぁ〜ん!?
お前は何その純真無垢な感じで言ってくれちゃってんの?
しかも俺の子じゃねぇって!!
『銀時の子供?へぇ…銀時に子供が居たんだぁ。
本当、そっくり〜。』
あっ、俺死んだ。
『どうしたの〜?お腹空いたの?ごめんねぇ、気の利かないパパで。
今、新八のおじちゃんがミルク買って来てくれるからね〜。』
銀時「あの、美佳?これは違うから!」
『違うって何が?』
銀時「何かの間違いだから!」
『別にいい歳した大人なんだからいいけどさ。
ちゃんと認知なりなんなりしないなら避妊くらいちゃんとしなよ。』
銀時「いや、だから、俺じゃないから。」
『言い逃れなんてみっともない。』
銀時「いや、だから〜!!」
言い訳をしようとも美佳は聞く耳を持たなかった。
これは非常にマズい…いや、でもこんなに怒るってことはヤキモチ妬いてる?
でもそんな浮かれてる場合でもない。
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